AIに作業を任せたあと、「何を考え、どこまで進めたか」がチャット画面の中に閉じたままでは、担当者が変わるたびに説明をやり直すことになります。Codex v0.148.0では、会話全体のMarkdown書き出し、セッションの分岐、アーカイブと復元が追加されました。
派手な自動化機能ではありません。ただ、AIの作業履歴を会社の正本へ戻すための部品としては使い道があります。
Codex v0.148.0で変わったこと
OpenAIが2026年8月18日に公開したCodex v0.148.0には、次の変更が含まれます。
/exportでTUIの会話全体をMarkdownとしてクリップボードまたはファイルへ書き出せるcodex exec forkで既存セッションを分岐できる- 再開画面からセッションをアーカイブし、あとで復元できる
/statusなどで、対象ワークスペースの推定クレジットまたは費用を確認できる- 再開時に保存済みの作業ディレクトリと承認方針を復元する
公式リリースには、拒否対象や読み取れないパスに対してLinuxとWindowsのサンドボックスが安全側に停止する修正も記載されています。再開できることと、再開時に権限が緩まないこと。この2つはセットで見るべきです。
Markdown書き出しは「報告書作成」より引き継ぎに使う
会話を丸ごと保存するだけでは、情報の墓場が増えます。実務では、書き出したMarkdownをそのまま保管せず、末尾に4項目だけ追記すると扱いやすくなります。
- 今回決めたこと
- 変更したファイルと公開先
- 未確認の範囲
- 次に再開する条件
保存先も先に決めます。案件フォルダ、議事録、Gitリポジトリなど、チームが普段確認する場所を1つだけ正本にします。AIのセッション一覧を記録の正本にすると、ツールを変えた時点で引き継ぎが切れます。
forkは「別案」と「本番作業」を混ぜないために使う
既存セッションを分岐できると、同じ前提から別案を試せます。たとえば、公開中サイトの修正方針を考える場面なら、元のセッションを調査記録として残し、分岐先で修正を実行します。
ここで注意したいのは、分岐が承認の代わりにはならないことです。削除、公開、契約、送信など外部へ影響する操作は、AIに承認を任せる前に決める境界線を分岐先にも適用します。v0.148.0は再開時の承認方針を復元する修正を含みますが、運用側でも「どの操作を人が止めるか」を文書に残しておく必要があります。
中小企業なら、この3段階から始める
最初から全履歴を保存する必要はありません。まず1案件だけ、次の流れを試します。
- 作業前に目的、変更禁止範囲、完了条件を書く
- 別案を試すときだけセッションをforkする
- 完了後にMarkdownへ書き出し、決定事項と未確認範囲を正本へ転記する
1週間後、別の担当者がその記録だけで再開できるか確認します。再説明が必要なら、会話量ではなく引き継ぎ項目が足りていません。
保存してはいけない情報も決める
会話全体の書き出しには、APIキー、顧客情報、未公開の契約条件が混ざる可能性があります。エクスポート前に機密情報を含む作業か確認し、保存先の閲覧権限を案件メンバーに絞ります。公開リポジトリへ入れる運用は避けた方が安全です。
費用表示も請求確定額とは限りません。公式リリースは「対象ワークスペースの推定クレジットまたは費用」と説明しています。日々の使いすぎを見つける目安にはなりますが、月次の原価確認は請求画面や利用明細を正本にします。表示値と請求額の差も、最初の1か月は毎週記録しておきます。
実装メモ
今回の変更は、AIとの会話を残す機能というより、途中の仕事を安全に分け、戻し、渡すための更新です。私はまず、長時間の調査やサイト改修など、途中経過が消えると困る仕事から適用します。短い質問まで保存すると、必要な記録が埋もれます。
出典:OpenAI Codex v0.148.0 release、Markdown conversation export (#37358)、Session fork support (#37367)、Restore approval policy on resume (#37368)

