Slackから乗り換えた経緯
社内コミュニケーションツールをSlackからLarkに切り替えました。2025年の春頃の話です。Larkは日本ではまだマイナーですが、使ってみたら予想以上に良かったです。切り替えてから約1年が経ったので、何が変わったかを正直に書きます。
Larkとは何か
LarkはByteDance(TikTokの親会社)が開発したビジネスコミュニケーションツールです。チャット、ビデオ会議、ドキュメント、スプレッドシート、カレンダー、承認フロー、メールが1つのアプリに統合されています。
Google Workspaceに近い構成ですが、チャットが中心にある点が違います。Google Workspaceは各ツールが独立していて、リンクで行き来する設計です。Larkは、チャットの会話の中からドキュメントやスプレッドシートをシームレスに作成・共有できます。この違いが、日常の使い勝手に影響しています。
海外ではFeishu(飛書)という名前で中国国内向けに展開されており、グローバル版がLarkです。日本での知名度はまだ低いですが、アジアを中心に利用者が増えています。
切り替えた理由はコスト
正直に言うと、切り替えの一番の理由はコストです。
Slackの有料プランは1ユーザー月額850円から。うちのように2〜5人の会社だと月4,250円〜。年間で5万円以上です。無料プランだとメッセージ履歴が90日分しか残らないので、仕事で使うには厳しいです。過去のやりとりを検索したいのに見つからない、というストレスがありました。
Larkは50人まで無料で使えます。チャット、ビデオ会議、ドキュメント、スプレッドシートが全部無料です。メッセージ履歴にも制限がありません。ストレージも無料で使えるぶんが十分にあります。小さな会社にとって、この差は大きいです。
年間5万円の節約、と言うと大した金額じゃないように聞こえるかもしれません。でも、小さな会社では固定費の積み重ねが経営を圧迫します。Slackの月4,250円、Zoomの月2,000円、Google Workspaceの月1,360円。個々の金額は小さくても、合算すると月1万円近くになります。Larkに統合すれば、チャットとビデオ会議とドキュメントの部分がゼロになります。
移行の手間
ツールの切り替えで一番心配だったのは、移行の手間です。結論から言うと、思ったほど大変ではありませんでした。
Slackの過去ログは、エクスポート機能で書き出して保存しておきました。Larkに自動移行する方法はないので、過去ログは必要になったらSlackのバックアップデータを見る、という割り切りです。
チームメンバーへの展開は、「来週からLarkに切り替えます。アプリをインストールしておいてください」と伝えただけです。小さいチームなので、1日で全員が切り替えました。大企業だとこうはいかないでしょうが、5人以下のチームならスムーズに移行できると思います。
操作感はSlackに似ているので、学習コストもほぼゼロでした。チャンネルの代わりに「グループ」があります。メンションの仕方もほぼ同じです。1〜2日で慣れました。
乗り換えて良かったこと
コスト以外にも、使ってみて良かった点がいくつかあります。
1. チャットの中でドキュメントが作れる
「この件、ドキュメントにまとめておいて」という会話の流れで、チャットからそのままドキュメントを作成できます。わざわざ別のアプリを開く必要がありません。この動線の短さは地味に助かっています。
Slackだと、Googleドキュメントを作ってリンクを貼る、という手順になります。たった1ステップの差ですが、毎日のことなので積もり積もって大きいです。特に、ミーティング中にリアルタイムで議事録を作るときに便利です。チャットで話しながら、同じ画面でドキュメントに書き込めます。
2. 翻訳機能が内蔵されている
海外のクライアントやパートナーとやりとりする機会があります。Larkには翻訳機能が内蔵されていて、チャットのメッセージをワンタップで翻訳できます。翻訳の精度も実用に耐えるレベルです。
以前はDeepLやGoogle翻訳にコピペして翻訳して、また貼り直していました。その手間がなくなっただけで、海外とのコミュニケーションが楽になりました。特に、中国語のやりとりが必要な場面で重宝しています。ByteDance製なので、中国語の翻訳精度は高い印象です。
3. 承認フローが簡単に作れる
経費精算や稟議の承認フローを、ノーコードで簡単に作れます。小さい会社だとここまで必要ないことも多いですが、BPO事業で外部スタッフの作業報告や確認に使っています。「作業完了しました」→「確認しました」のフローをLark上で回せるので、チャットでの確認漏れがなくなりました。
4. ビデオ会議の品質
これは正直、切り替え前は不安でした。でも使ってみると、ZoomやGoogle Meetと比べて遜色ない品質です。画面共有もスムーズです。録画機能もあります。社内のミーティングはすべてLarkのビデオ会議で済ませています。
5. スプレッドシートの使い勝手
Larkのスプレッドシートは、Googleスプレッドシートに近い操作感です。関数もほぼ同じものが使えます。BPOの作業管理シートや、クライアントへの報告用データをLark上で作っています。チャットからワンクリックで開けるので、「あのシートどこだっけ?」がなくなりました。
困ったことも正直に書く
良いことばかりではありません。困った点もあります。
日本語の情報が少ない
これが一番のデメリットです。設定でわからないことがあっても、日本語の解説記事がほとんど見つかりません。英語か中国語の公式ドキュメントを読むか、AIに翻訳してもらいながら解決しています。Slackなら日本語のヘルプ記事やコミュニティが充実しているので、この差は大きいです。困ったときの自己解決コストが高いです。
外部サービスとの連携が弱い
Slackは外部サービスとの連携(インテグレーション)が豊富です。GitHub、Notion、Google Calendar、Trelloなど、主要なツールと簡単に連携できます。Larkはこの部分がまだ発展途上です。APIは公開されていますが、すぐに使えるインテグレーションの数はSlackに劣ります。
自分の場合は、自社ツールとの連携をAPIで自作しました。Webhook経由で通知を飛ばしたり、Larkのチャットからコマンドを実行したり。開発力がある人なら問題ありませんが、非エンジニアのチームだと連携の弱さはデメリットになるかもしれません。
ByteDanceへのセキュリティ懸念
ByteDanceの製品ということで、セキュリティを気にする人もいるかもしれません。自分は、機密度の高い情報(財務データ、契約書など)はGoogle Workspaceに置いて、Larkは日常のコミュニケーション用と使い分けています。
これは過剰反応かもしれません。でも、リスクは小さくても分散しておいたほうが安心です。特にクライアントの情報を扱う場合は、慎重になって損はないと思っています。クライアントに「うちのツールはLarkです」と説明して「大丈夫?」と聞かれたことは、正直あります。
1年使ってみての総合評価
切り替えてから1年。改めて評価すると、自分たちの使い方には合っています。
チャット中心のコミュニケーション、ドキュメントの共同編集、簡単な承認フロー。これらが1つのアプリで無料で使えます。5人以下のチームで、社内コミュニケーションが中心なら、Larkのコストパフォーマンスは高いと感じています。
どんなチームに向いているか
万人にLarkを勧めるつもりはありません。使い分けの基準は、自分の場合こうです。
- チームが10人以下でコストを抑えたい → Lark
- 外部ツールとの連携が重要 → Slack
- 社内で完結するコミュニケーション中心 → Lark
- 日本語サポートが必須 → Slack
- ドキュメント作成もツール内で済ませたい → Lark
- 海外とのやりとりが多い → Lark(翻訳機能が便利)
次に読むと実務に落とし込みやすい記事
業務改善系の記事は、ツール選びよりも先に、仕事の流れ・判断基準・確認方法を整える視点で読むと実装しやすくなります。
参考にした公式・一次情報
業務ツールやAIを入れると、最初は作業が速くなったように見えます。しかし、権限が広すぎる、最新版が分からない、通知が多すぎる、例外時の判断者がいない、という状態では長続きしません。導入前に小さなルールを決めておくことが、結果として時間短縮につながります。
便利さより先に見るリスク
- 依頼、期限、担当者、完了条件を一つの場所に残す。
- ファイル名、保存場所、共有権限、退職者・外注先アカウントの扱いを定期的に見直す。
- 会議やメールでは、決定事項、次の担当、期限を必ず残し、AI要約は人間が確認する。
少人数会社で決めておきたいルール
業務改善の記事は、ツール紹介や個人の工夫だけで終わると再現性が弱くなります。読者が自社で使うには、誰が担当するのか、どこに保存するのか、いつ確認するのか、失敗時にどう戻すのかまで決める必要があります。特にリモートワーク、メール、会議、資料管理、パスワード、バックアップのような領域では、便利さよりも継続できる運用が重要です。
Larkを使い始めて変わったことを運用で見るための補足
少人数会社では、完璧な管理より「止まっているものが見える」「最新版が分かる」「外部に出してよい情報が分かる」状態を作る方が効きます。AIやクラウドを使う場合も、便利さと同時に権限、ログ、共有リンク、退職者アカウントの見直しを運用に入れる必要があります。
業務改善では、ツールの導入よりも、誰が、いつ、どこで、何を確認するかを決めることが先です。依頼、期限、担当者、完了条件、保存場所が曖昧なままだと、新しいツールを入れても情報が散らかるだけになります。
Larkを使い始めて変わったことを実務に落とすときの確認事項
業務改善は、ツールを増やすことではなく、依頼、担当、期限、保存場所、完了条件をそろえることから始まります。少人数の会社では、誰かの記憶に頼った運用が一番詰まりやすいので、決定事項と次の行動を見える場所に残すだけでも効果があります。AIやクラウドを使う場合も、権限とログを同時に確認することが大事です。
Larkを使い始めて変わったことを仕組みにするための補足
ここで見るべきなのは、きれいな理想論ではなく、明日から同じ判断を再現できるかどうかです。担当者が変わっても迷わないように、判断基準、保存場所、確認者、期限、例外時の扱いを一つのメモに残しておくと、ツールや担当者に依存しすぎない運用になります。
まずは一つの業務だけを選び、今の流れを書き出します。誰が何を受け取り、どこで判断し、どこに保存し、誰に返すのかを見える化します。そのうえで、AIやクラウドに任せる部分と、人が責任を持つ部分を分けると、改善が現場に残りやすくなります。
業務改善は、新しいツールを入れる前に、依頼の入口、担当、期限、完了条件、保存場所をそろえるところから始める方が失敗しにくいです。ここが曖昧なまま自動化すると、早くなるのではなく、曖昧な作業が速く散らばります。
Larkを使い始めて変わったことを社内運用に変えるときの見る順番
Larkを会社の記憶置き場にしない
Larkを入れて変わったのは、チャットが増えたことではありません。仕事の入口を、会話から「記録」に寄せられるようになったことです。
ただし、Larkをそのまま会社の記憶置き場にすると、あとでAIエージェントが読めません。人間には読める会話でも、AIには判断条件、期限、完了条件、参照ファイルが分かれて見えるからです。
小さな会社で使うなら、Lark上のやりとりを次の形に落とすところまでを運用にします。
- 誰が判断する仕事なのか
- 何が終われば完了なのか
- AIに渡せる仕事カードとして、目的・素材・制約・確認方法が揃っているか
- あとでCompany Brainに残すべき判断か、一時的な連絡で終わる話か
ここを決めずにLarkだけ整えると、通知は減っても仕事の迷子は減りません。AIエージェントに任せる前提なら、チャットの整理より先に、仕事カード化のルールを作るほうが効きます。
関連して、小さな会社のタスク管理と、小さな会社のAI導入ガイドも同じ問題を扱っています。
まとめ
SlackからLarkに切り替えて約1年。総合的には、乗り換えて正解だったと思っています。
月4,000円以上の固定費が削減できました。ドキュメント作成の動線が短くなりました。翻訳機能で海外とのやりとりが楽になりました。承認フローで確認漏れがなくなりました。日本語情報の少なさと外部連携の弱さは不満ですが、自分たちの使い方では許容範囲内です。
Slackの料金が気になっている小規模チームの方は、一度試してみる価値はあると思います。無料で全機能使えるので、リスクはゼロです。合わなかったらSlackに戻ればいいだけです。自分の場合は、戻る理由が見つかっていません。

