この記事は2025年12月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)
ECサイトを運営していると、あれもこれもツールが必要になります。有料ツールを入れればキリがないし、月額費用もバカになりません。自分は2017年からEC支援の仕事をしていますが、実は無料ツールだけでもかなりのことができます。
ここでは、自分が実際に日常業務で使っている無料ツール5つを紹介します。どれも「試しに使ってみたら手放せなくなった」というものばかりです。有料ツールとの使い分けも含めて、リアルな運用を書いていきます。
1. Canva(画像編集・バナー作成)
ECサイトの運営で地味に時間がかかるのが、バナーや商品画像の加工です。Photoshopを使っていた時期もありましたが、月額費用がかかりますし、ちょっとした修正に大げさすぎます。
Canvaの無料プランで十分なことに気づいたのは2020年ごろでした。テンプレートが豊富で、EC用のバナーサイズもプリセットされています。背景の除去機能は有料ですが、それ以外はほぼ無料で使えます。
2026年現在、CanvaにはAIによる画像生成機能も追加されています。商品のイメージ画像をサッと作りたいときに重宝します。ただし、AIで生成した画像をそのまま商品写真として使うのはおすすめしません。あくまでイメージカットやSNS投稿用に限定しています。
自分の使い方としては、楽天やYahoo!ショッピングのバナーをCanvaで作って、そのままダウンロードしてアップロードするという流れです。所要時間は1枚あたり10〜15分程度です。テンプレートを自分用にカスタマイズしておくと、さらに時短になります。セールバナーの枠組みを一度作っておけば、次回は文字と商品画像を差し替えるだけで済みます。この「テンプレートの使い回し」ができるのが、Canvaの強みだと思っています。
2. Googleスプレッドシート(在庫管理・売上分析)
これは説明不要かもしれませんが、意外と活用しきれていない人が多いです。自分はGoogleスプレッドシートを在庫管理と売上分析のメインツールにしています。
なぜ専用の在庫管理ツールを使わないのか。理由はシンプルで、クライアントと共有しやすいからです。EC支援の仕事では、クライアントに在庫状況や売上推移を見せる場面が多いです。スプレッドシートならURLを送るだけで済みます。専用ツールだと「アカウントを作ってください」から始まるので、クライアントに余計な手間をかけてしまいます。
関数やピボットテーブルを使えば、月別・商品別の売上推移もすぐに出せます。最近はGoogleスプレッドシートにもAI機能が搭載されて、「先月と比べて売上が落ちた商品を抽出して」みたいな自然言語での操作もできるようになりました。
注意点としては、商品数が数百点を超えると動作が重くなることです。その場合は商品カテゴリごとにシートを分けるか、専用ツールへの移行を検討するタイミングです。もう一つのコツとして、スプレッドシートの「データの入力規則」機能を使うと入力ミスを防げます。ステータス欄をプルダウンにしたり、数値の範囲を制限したりするだけで、複数人で使う場合にデータの正確性が格段に上がります。
3. ChatGPT(商品説明文・メール文面の下書き)
2025年後半からChatGPTの無料プランでもGPT-4oが使えるようになり、商品説明文の下書きに十分な品質が出せるようになりました。
自分が使うときのコツは、いきなり「商品説明文を書いて」と頼まないことです。まず商品の特徴を箇条書きで入力して、ターゲット層と文体を指定します。たとえば「30代女性向け、カジュアルな口調で」「楽天市場の商品ページ用、300文字以内」という具合です。
2026年3月時点では、GPT-4oに加えてo3-miniやGPT-4.5も登場しています。ただし無料プランで使えるのは基本的にGPT-4oなので、まずはそこから始めるのがいいでしょう。
メール文面の下書きにも使っています。クレーム対応の返信や、取引先への提案メールなど、文面に悩む時間が大幅に減りました。ただし、AIが書いた文章をそのまま送ることは絶対にしません。必ず自分の言葉に直してから送ります。AIの文章は整いすぎていて、そのまま使うと「AIっぽさ」が出てしまいます。自分の場合はAIの出力を60%くらいの下地として使い、残りを自分の言い回しに書き換えています。この手間を省くと、相手に違和感を与えることがあります。
4. Googleアナリティクス GA4(アクセス解析)
自社ECサイトを運営しているなら、GA4は必須ツールです。2023年にUA(ユニバーサルアナリティクス)から完全移行して、最初は使いにくいと感じましたが、今ではGA4のほうが圧倒的に便利だと思っています。
特に「探索」レポートが強力です。ファネル分析で「商品ページを見た人のうち、何%がカートに入れて、何%が購入に至ったか」を視覚的に確認できます。離脱ポイントが一目でわかりますから、改善の優先順位をつけやすいです。
2026年になって、GA4にもAIによるインサイト機能が強化されました。「先週と比べてコンバージョン率が下がった原因は何か」をAIが自動で分析してくれます。精度はまだ完璧ではありませんが、分析の起点としては十分に使えます。
楽天やYahoo!ショッピングなどのモール出店の場合、GA4は直接使えませんが、各モールが提供するアクセス解析ツールと併用して見ています。モールのデータとGA4のデータを突き合わせることで、自社EC経由とモール経由の顧客行動の違いも見えてきます。
GA4を使いこなすコツは、最初から全部の機能を理解しようとしないことです。まずは「リアルタイムレポート」と「集客レポート」の2つだけ見る習慣をつけます。どこから来た人が多いのか、今何人がサイトを見ているのか。これだけでも施策の効果がざっくりわかります。慣れてきたらファネル分析やコホート分析に進めばいいでしょう。
5. Notion(タスク管理・マニュアル作成)
EC運営は細かいタスクの積み重ねです。商品登録、画像作成、価格変更、キャンペーン設定、在庫確認。これらを頭の中だけで管理するのは無理があります。
自分はNotionの無料プランでタスク管理をしています。Trelloも試しましたし、Asanaも使いましたが、Notionに落ち着いた理由は「タスク管理とマニュアルが一つの場所にまとまる」からです。
たとえば「楽天の商品登録手順」というマニュアルページを作り、その中にタスクリストを埋め込みます。新しいスタッフが入ったときも、このページを見せるだけで作業手順がわかります。マニュアルとタスクが別の場所にあると「手順書はどこ?」「今のタスクは?」とあちこち探すことになりますが、Notionならその問題が起きません。
2026年現在、NotionにもAI機能が搭載されていて、マニュアルの要約や翻訳もワンクリックでできます。海外スタッフとやり取りがある場合にはかなり助かります。ただしAI機能の一部は有料プランなので、そこは注意が必要です。
もう一つの活用法として、クライアントとの情報共有があります。ページ単位でゲストを招待できるので、クライアントに進捗を見せたいときに便利です。わざわざ報告書を作らなくても、Notionのページを共有するだけで済む場合も多いです。
無料ツールで十分な理由
ここまで5つのツールを紹介しましたが、共通しているのは「無料でも実用に耐える品質がある」ということです。
もちろん、有料プランにすればもっと便利になるツールもあります。でも、EC運営を始めたばかりの段階や、月商がまだ安定していない段階では、まず無料ツールで業務フローを固めるほうがいいでしょう。業務フローが固まる前に有料ツールを入れると、使いこなせずに月額だけ払い続けることになりかねません。
有料ツールを入れるタイミングは、無料ツールの限界を感じたときです。「Canvaの無料プランだと背景除去ができなくて困る」「スプレッドシートだと商品数が多すぎて動かない」。こういう具体的な不満が出てきたら、そのツールだけ有料に切り替えます。全部を一気に有料にする必要はありません。
自分の場合、5つのうち有料にしているのはCanva Proだけです。背景除去の頻度が高いからという明確な理由があります。それ以外は無料プランで十分に回っています。
ツールを増やしすぎない工夫
便利なツールが増えると、つい「あれも入れよう、これも試そう」となりがちです。でも自分の経験では、ツールを増やしすぎると管理コストが上がって逆に非効率になります。
目安としては、同じカテゴリのツールは1つに絞ります。画像編集はCanva、タスク管理はNotion、アクセス解析はGA4。カテゴリが被るツールを複数使うと、どこに何があるかわからなくなります。
新しいツールを試すときのルールも決めています。2週間使ってみて、既存のツールより明確に良い点がなければやめます。「なんとなく良さそう」で導入すると、使わないツールが増えるだけです。年に1回はツールの棚卸しをして、使っていないものは解約します。これだけで年間数万円の節約になることもあります。
ツール選びに正解はありません。自分の業務フローに合うものを選び、使い込むことで初めて効果が出ます。
まとめ
EC運営のツール選びで大事なのは、「高機能なツールを入れること」ではなく「自分の業務に合ったツールを使いこなすこと」だと思います。
無料ツールだからといって品質が低いわけではありません。むしろ2026年現在は、無料でもAI機能が使えるツールが増えて、数年前とは比べものにならないくらい便利になっています。
まずは今回紹介した5つのうち、使っていないものがあれば1つだけ試してみてください。全部を一度に導入する必要はありません。1つずつ試して、自分の業務に合うかどうかを確かめるのが一番確実です。
