この記事は2026年1月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)
「AIを使って生産性を上げよう」という話はあちこちで聞きます。でも、具体的にどう使えばいいのかがわかりません。そういう人は多いのではないでしょうか。
自分は2017年からAIを業務に使い続けてきました。その中でたどり着いた結論は、AIは「自分の弱みを補うツール」として使うのが最も効果的だということです。
得意なことにAIを使っても、効率は1.2倍にしかなりません。でも苦手なことにAIを使うと、効率が3倍にも5倍にもなります。ここでは、自分自身の弱みをAIでどう補っているかを具体的に書いていきます。
弱み1:文章を書き始めるのが遅い
自分はデザイナー出身で、ビジュアルで考えるのは得意ですが、文章を一から書くのが苦手です。ブログ記事やクライアントへの提案書を書くとき、最初の一文が出てきません。白紙の画面を見つめたまま30分が過ぎることも珍しくありませんでした。
AIでの補い方:ChatGPTに「壁打ち相手」になってもらいます。テーマだけ伝えて、構成案を5パターン出してもらいます。その中から「これが近い」と思うものを選んで、各見出しの下に自分の考えを肉付けしていきます。
ゼロから書くのではなく、AIが作った骨組みに自分の言葉を乗せていく。これだけで、書き始めるまでの時間が30分から5分に短縮されました。最終的な文章は完全に自分の言葉になるから、AIっぽさもありません。
2026年3月現在、GPT-4oやClaude Sonnetの構成提案はかなり精度が高いです。特にClaudeは「やわらかいトーン」の構成提案が上手いので、ブログ記事の構成にはClaudeを使うことが多いです。
弱み2:数字の分析が苦手
これもデザイナー出身の弊害かもしれません。売上データやアクセス解析のデータを見ても、「で、何がわかるの?」となりがちでした。
数字自体は読めます。でも、そこから「だからこうすべき」という示唆を引き出すのが苦手です。スプレッドシートにデータを並べて、ピボットテーブルを作って、グラフにして……という作業はできます。でもそこから先の「解釈」で止まってしまいます。
AIでの補い方:データをChatGPTに貼り付けて、「このデータから読み取れる傾向と、今後の施策を3つ提案して」と聞きます。
たとえば、あるクライアントの月別売上データをChatGPTに渡したとき、「8月に売上が落ちているのは季節要因の可能性が高い。前年同月と比較して確認すべき」「商品Cの売上が3ヶ月連続で伸びている。広告費を集中させる検討材料になる」という分析が返ってきました。
自分一人だったら1時間かかる分析が、AIとの対話で15分で終わります。しかもAIは見落としがちな視点を提示してくれるから、分析の精度も上がっています。
ただし注意点があります。AIの分析をそのままクライアントに出してはいけません。AIは「データ上はこう見える」としか言えません。その背景にある事情(担当者の異動、競合の動き、季節イベントの影響)は人間が補う必要があります。
弱み3:英語のコミュニケーション
EC支援の仕事では、海外の取引先とやり取りすることがあります。商品の仕入れや、海外向けECサイトの運営など。英語は読めますが、書くのが遅いです。特にビジネスメールの文面は、失礼がないか気にしすぎて何度も書き直してしまいます。
AIでの補い方:日本語でメールの要旨を書いて、AIに英訳してもらいます。ただし、Google翻訳のような直訳ではなく、「ビジネスメールとして自然な英語に翻訳して。丁寧すぎない、実務的なトーンで」と指定します。
2026年の翻訳AIの精度は本当に高いです。GPT-4oもClaudeも、ビジネスメールの英訳はほぼ修正不要のレベルです。ニュアンスの指定もできるから、「少しカジュアルに」「フォーマルに」といった調整も簡単です。
最近はClaudeの音声機能を使って、英語での電話会議の前にリハーサルすることもあります。AIに取引先の立場で質問してもらい、自分がそれに英語で答える練習をします。実際の会議で落ち着いて対応できるようになりました。
弱み4:事務作業の先送り
これは性格の問題かもしれませんが、請求書の発行、経費の入力、契約書の更新など、事務作業を後回しにしがちです。期限ギリギリになって焦って処理します。この悪い癖は自覚しています。
AIでの補い方:直接的にAIが事務作業を代行してくれるわけではありません。ただ、AIに「事務作業のチェックリストを作って」と頼んで、毎月の定型作業をリスト化しました。そのリストをNotionに貼って、月初に自動でリマインドが飛ぶようにしています。
さらに、自社ツールSync8には請求書の自動生成機能を実装しました。クライアント情報と作業実績を入力すれば、AIが請求書のドラフトを作ってくれます。金額と項目を確認して送るだけだから、作業時間は10分の1以下になりました。
事務作業が苦手な原因は、「面倒くさい」という気持ちです。AIで作業量を減らせば、面倒くさいのハードルが下がります。完全に自動化できなくても、手間を減らすだけで先送りの頻度が劇的に減りました。
弱み5:デザインの言語化
デザイナー出身なのに、デザインを言語化するのが苦手です。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、デザインは感覚で作っている部分が大きいです。「なぜこの色にしたのか」「なぜこのレイアウトにしたのか」を論理的に説明するのが得意ではありませんでした。
これがクライアントへのプレゼンで問題になります。「いい感じですね」だけでは通りません。なぜこのデザインが最適なのか、根拠を説明する必要があります。
AIでの補い方:デザインの意図を箇条書きでAIに伝えて、「このデザインの選択理由をクライアントプレゼン用に論理的に説明して」と頼みます。
たとえば「青系の配色を選んだ理由」を聞くと、「信頼感・安定感を訴求するため」「競合が赤系を使っているため差別化になる」「ターゲット層の40代男性に好まれやすい色調」といった根拠を提示してくれます。
これは自分の中では感覚的に理解していることですが、言語化してくれると「そうそう、それが言いたかった」となります。AIは、自分の頭の中にある暗黙知を言語に変換してくれるツールでもあります。
「弱み」を認めるところから始まる
AIで弱みを補うには、まず自分の弱みを認める必要があります。これが意外と難しいです。
経営者は「何でもできなきゃいけない」と思いがちです。自分もそうでした。でも、全部を自分でやろうとすると、苦手な作業に時間を取られて、得意な仕事に使える時間が減ります。
AIは、自分の弱みを他人に見せずに補えます。スタッフに「文章が書けない」とは言いにくいですが、AIにはプロンプトを入力するだけです。恥ずかしさがありません。
ただし、AIに依存しすぎるのも考えものです。弱みを補ってもらいつつ、少しずつ自分のスキルも上げていく。AIに作ってもらった文章を読むことで、自分の文章力も少しずつ上がっている実感があります。
まとめ
AIを「得意なことをさらに伸ばすツール」ではなく「苦手なことを補うツール」として使う。これが自分のAI活用の基本方針です。
自分の弱みを5つ書きましたが、読んでいる人にも思い当たるものがあるのではないでしょうか。文章を書くのが遅い、数字に弱い、英語が苦手、事務作業が嫌い、考えを言語化できないといったものです。これらはAIが最も力を発揮する領域です。
まずは自分の「一番苦手な作業」を1つ選んで、AIに手伝ってもらうところから始めてみてください。「こんなことまでできるのか」という発見があるはずです。
