この記事は2025年6月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)
「最終版」が3つあった
ファイルの名前の付け方にルールを決めました。たったこれだけのことで、ファイルを探す時間が激減しました。小さな改善ですが、毎日の仕事に効く改善なので、共有します。
ルールを決める前の状態はこんな感じでした。
「見積書.xlsx」「見積書_修正.xlsx」「見積書_修正_最終.xlsx」「見積書_修正_最終_確定版.xlsx」「見積書_修正_最終_確定版_v2.xlsx」。
笑い話みたいですが、実際にこうなっていました。「最終版」が3つあります。どれが本当の最終版かわかりません。結局、ファイルを1つずつ開いて中身を確認します。更新日時を見ても、途中で開いただけのファイルもあるから当てになりません。これだけで毎日10〜15分は無駄にしていたと思います。
自分だけの問題ならまだいいのですが、チームメンバーにファイルを共有するときに困ります。「最新版を送ってください」「どのファイルが最新版ですか?」というやりとりが発生します。これが地味にストレスでした。
決めたルール
悩んだ末に、シンプルなルールを1つだけ決めました。
ファイル名は「YYYYMMDD_内容_補足.拡張子」の形式に統一する。
- 例:20260306_見積書_A社.xlsx
- 例:20260307_議事録_定例MTG.md
- 例:20260310_提案書_SNS運用_B社.pdf
- 例:20260312_月次レポート_2月分.xlsx
日付が先頭に来るので、フォルダ内で自動的に時系列に並びます。「最新版はどれ?」は、日付を見れば一目瞭然です。「最終」「確定」「v2」のような修飾語が不要になります。
なぜ日付を先頭にしたのか
ファイル命名規則にはいろいろなパターンがあります。「プロジェクト名_日付_内容」「カテゴリ_日付_バージョン」「連番_日付_内容」。それぞれメリットがあります。
自分が「日付を先頭」にした理由は、検索性を最優先にしたかったからです。
フォルダの中でファイルを探すとき、ほとんどの場合「いつ作ったか」が一番の手がかりになります。「先週作った見積書」「3月初旬の議事録」。日付が先頭にあれば、フォルダ内のファイル一覧がそのまま時系列になります。ソートの操作すら不要です。
プロジェクト名を先頭にするパターンも検討しましたが、プロジェクトの数が増えると「どのプロジェクトだったっけ?」という別の問題が出てきます。自分の場合は日付のほうが確実に思い出せるので、日付を先頭にしました。
日付のフォーマットは「YYYYMMDD」の8桁固定です。「2026/3/6」や「26-03-06」のような表記ゆれを防ぐためです。ISO 8601に準拠した形式なので、どの国の人が見ても同じ意味になります。8桁固定にすることで、ファイル名の先頭が揃って見やすくなるメリットもあります。
「内容」の部分のルール
日付の後の「内容」部分にも、ゆるいルールを設けています。
名前は具体的に
「資料」「データ」「メモ」のような汎用的な名前は使いません。「見積書」「議事録」「提案書」「月次レポート」「作業手順書」のように、ファイルの種類がわかる名前にします。2ヶ月後の自分が見ても、開かずに内容がわかることが目安です。
補足は必要なときだけ
同じ日に同じ種類のファイルが複数ある場合は、補足をつけます。「20260306_見積書_A社」「20260306_見積書_B社」のように。補足は「クライアント名」「プロジェクト名」「会議名」など、識別に必要な情報だけ入れます。不要な補足は入れません。シンプルに保ちます。
区切り文字はアンダースコア
スペースや全角文字を区切りに使うと、OSやツールによって不具合が出ることがあります。URLに含めるとエンコードされて読みにくくなりますし、コマンドラインでの操作時にエスケープが必要になります。アンダースコア(_)で統一しています。ハイフン(-)でもいいですが、チーム内で統一することが大事です。
日本語と英語の使い分け
社内向けのファイルは日本語名で問題ありません。クライアントに渡すファイルや、プログラムから参照するファイルは英語名にしています。「20260306_estimate_CompanyA.xlsx」のように。日本語ファイル名は、特定のシステムで文字化けすることがあるので、外部とのやりとりでは英語が安全です。
バージョン管理はどうするか
「日付だけで、バージョン管理はどうするの?」と聞かれることがあります。
自分の答えは「同じ日に複数回更新するファイルは、時刻を追加する」です。
- 20260306_見積書_A社.xlsx(朝に作成)
- 20260306_見積書_A社_1500.xlsx(15時に修正)
ただ実際には、同じ日に同じファイルを何度も修正することはそう多くありません。ほとんどのケースは日付だけで足ります。
本格的にバージョン管理が必要なファイル(コード、設計書など)は、Gitのようなバージョン管理システムを使うほうが適切です。ファイル名でバージョンを管理しようとすると、いずれ破綻します。見積書や議事録のようなビジネス文書は日付管理で十分です。コードはGitです。この棲み分けが大事です。
チームへの展開
自分だけがルールを守っていても、チームメンバーがバラバラの名前を付けていたら意味がありません。
チームに展開するときにやったことは、3つです。
1. ルールをシンプルにする
「YYYYMMDD_内容_補足.拡張子」。これだけです。複雑なルールを作っても守られません。覚えられるルールだけにします。ルール表をSlackに貼っておいて、迷ったら見てね、で十分です。
2. テンプレートを用意する
よく使うファイルタイプ(見積書、議事録、提案書)のテンプレートを作って、ファイル名も「YYYYMMDD_見積書_顧客名.xlsx」のように設定しておきます。テンプレートを開いたら、日付と顧客名を変えるだけです。考える手間をゼロにします。
3. 既存ファイルは無理にリネームしない
過去のファイルまで全部リネームしようとすると、作業量が膨大になって挫折します。「今日から新しいファイルはこのルールで」と決めて、過去のファイルはそのまま残します。時間が経てば、自然に新しいルールのファイルが多数派になります。半年もすれば、古い名前のファイルのほうが少数派になっていました。
導入から9ヶ月、変わったこと
ルールを導入してから9ヶ月が経ちました。変わったことを正直に書きます。
- ファイルを探す時間がほぼゼロになった(フォルダを開けば時系列で並んでいる)
- 「これ最新版?」という確認のチャットがなくなった
- フォルダを開いたときの安心感が違う(整理されている状態が精神的にも良い)
- 新しいメンバーが入ったとき、ファイル管理のルール説明が30秒で終わる
- クライアントにファイルを渡すとき、「わかりやすい名前ですね」と言われるようになった
デメリットは、最初の1〜2週間だけ「ルール通りに名前をつける」のを意識する必要があることです。でも、習慣になってしまえば自然にできるようになります。今では「日付をつけない」ほうが違和感があるくらいです。
AIとの相性も良い
ちなみに、ファイル命名規則はAIとの相性も良いです。
AIに「20260306_議事録_定例MTG.mdを読んで、宿題を抽出して」と指示するとき、ファイル名が整っていると、AIも正確にファイルを特定できます。「最新の議事録を読んで」という曖昧な指示でも、日付順に並んでいれば一番新しいファイルを正しく選んでくれます。
AIを活用した業務効率化を考えるなら、その前段階として「ファイルが整理されていること」は重要な前提条件です。散らかったファイルをAIに処理させても、正確な結果は期待できません。整理されたデータに対して、AIは最大限の力を発揮します。
逆に言えば、ファイル命名規則を整えるという「地味な作業」が、AIによる業務効率化の土台になります。AIブームで派手なツールに目が行きがちですが、こういう基盤整備のほうが実は重要です。
まとめ
ファイル命名規則は、5分で決められて、毎日の効率に影響する改善です。
ルールはシンプルに。「YYYYMMDD_内容_補足.拡張子」。これだけで十分です。過去のファイルは無理にリネームしません。今日からの新しいファイルだけ、このルールで付けます。
たったこれだけのことで、ファイルを探す時間がなくなります。チームメンバーとのファイル共有もスムーズになります。そして、将来AIを活用するときの土台にもなります。
まだルールを決めていない方は、今日から始めてみてください。5分後には、もうルールが決まっています。
