SNSを開けば、AIを使って数分でウェブサイトが完成したという投稿を頻繁に目にします。
最新のAI技術を使えば、プログラミングの知識がなくても見栄えの良いページが作れるのは事実です。
しかし、いざ自分でやってみると、生成されたコードをどう扱えばいいのか分からず、立ち止まってしまう方も少なくありません。
この記事では、AIサイト制作で多くの人が陥る「公開と運用の壁」を乗り越えるための基礎知識を解説します。
Webの仕組みを正しく理解することで、AIを単なる魔法の杖ではなく、実用的なビジネスツールとして使いこなせるようになります。
読み終える頃には、自分の手で作ったサイトを世界中に公開する具体的なイメージが湧いているはずです。
なぜAIで「作ったはず」のサイトが公開できないのか
最近のAIツールは、私たちが入力した指示(プロンプト)に対して、即座にHTMLやCSSといったコードを書き出してくれます。
中には、ブラウザ上の編集画面だけで完結するサービスもありますが、多くの場合、AIが作るのはあくまで「サイトの設計図」です。
この設計図を、実際のインターネットという公道に持ち出すプロセスが、初心者にとって最大の難関となっています。
かつてのノーコードツールは、編集画面がそのままサーバーと直結しているものが主流でした。
そのため、ユーザーは「ファイルをどこかに置く」という意識を持たずに公開まで辿り着けました。
しかし、汎用的なAIを使ってコードを生成する場合、そのコードを動かすための「器(サーバー)」を自分で用意する必要があるのです。
「ローカル」と「サーバー」の決定的な違い
自分のパソコンの中でサイトが表示されている状態を、専門用語で「ローカル環境」と呼びます。
AIにコードを書いてもらい、自分のPCのブラウザで確認している段階は、まだ家の中でポスターを眺めているのと同じです。
これを誰にでも見られる状態にするには、24時間稼働している「サーバー」という場所へデータを転送しなければなりません。
この「自分のPCからサーバーへデータを送る」という概念が、現代のクラウドサービスに慣れた世代にはイメージしづらくなっています。
AIは中身を作るのは得意ですが、その中身をどこに配置し、どうやってドメイン(住所)と結びつけるかまでは、人間の手助けを必要とします。
Webサイトがインターネットに届くまでの流れ
ウェブサイトを公開するプロセスは、よく「土地」「住所」「建物」に例えられます。
AIが作成してくれるのは、この例えで言うところの「建物(内装や外観)」の部分です。
どれだけ立派な建物をAIが建ててくれても、建てるための土地がなければ、誰もその場所を訪れることはできません。
以下の表で、それぞれの役割を整理してみましょう。
| 要素 | 役割 | 具体的なサービス例 |
| コンテンツ(建物) | AIが生成したHTMLやCSS、画像ファイル | ChatGPT, Claude, v0 |
| サーバー(土地) | データを保管し、リクエストに応じて配信する場所 | Vercel, Netlify, Cloudflare |
| ドメイン(住所) | サイトを特定するためのURL(example.comなど) | お名前.com, Google Domains |
デプロイという魔法の言葉を知る
Web業界では、作成したサイトのファイルをサーバーに転送し、利用可能な状態にすることを「デプロイ(展開)」と呼びます。
AIでサイトを作る際に最も重要となるのが、このデプロイの作業です。
最近では、GitHubというコード管理ツールと連携させることで、ファイルをアップロードするだけで自動的に公開してくれる便利な仕組みが整っています。
初心者が最初につまずく「AIと現実のギャップ」
AIサイト制作において、多くの人が「こんなはずじゃなかった」と感じるポイントがいくつかあります。
その筆頭が、更新の難しさです。
一度AIに作ってもらったサイトの一部を修正したいとき、再びAIに指示を出すと、以前とは全く違うコードが返ってくることがあります。
これは、AIが「前回の状態」を完全に保持したまま継続的に管理しているわけではないからです。
自分でコードの構造を少しでも理解していないと、AIに修正を依頼するたびにデザインが崩れたり、機能が動かなくなったりするリスクがあります。
AIは強力な助手ですが、最終的な管理責任は人間にあることを忘れてはいけません。
データの保存場所を意識する
クラウド型のAIツールを使っていると、データがどこにあるのかを意識しなくなりがちです。
しかし、本格的な運用を目指すなら、AIが生成したコードを一度自分の手元(または自分の管理するクラウドストレージ)にダウンロードする癖をつけましょう。
「ツールが使えなくなったらサイトも消える」という状況を避けることが、ライフハックとしてのリスク管理です。
挫折しないためのステップバイステップガイド
それでは、AIを使って安全かつスムーズにサイトを公開するための手順を確認していきましょう。
いきなり難しいことをしようとせず、以下の3つのステップを守ることで、技術的な迷子になることを防げます。
ステップ1:AIでプロトタイプを作成する
まずはChatGPTやClaudeなどのAIを使い、サイトの構成案とコードを出力させます。
このとき、一度に全てを作らせようとせず、「まずはトップページのヘッダーだけ」というように、パーツごとに依頼するのがコツです。
出力されたコードは、メモ帳などのテキストエディタに保存し、拡張子を「.html」にして自分のPCで開いてみましょう。
ステップ2:ホスティングサービスを選ぶ
次に、コードを置くための土地(サーバー)を選びます。
初心者におすすめなのは、VercelやNetlifyといった「ホスティングサービス」です。
これらは個人利用であれば無料で使えることが多く、ファイルを画面にドラッグ&ドロップするだけで、あっという間に世界中へ公開してくれます。
ステップ3:小さな修正を積み重ねる
公開ができたら、次は細かい修正に挑戦します。
「文字の色を変える」「画像を差し替える」といった簡単な作業を、AIに聞きながら自分の手で行ってみてください。
この「少しだけ自分で触ってみる」という経験が、AIとWeb技術の架け橋となり、真のスキルとして定着していきます。
結論:AIを使いこなすために必要な「一歩先の視点」
AIでウェブサイトが作れるようになったのは、素晴らしい技術の進歩です。
しかし、その恩恵を最大限に受けるためには、技術の裏側にある「Webの基本原則」を無視することはできません。
「AIがやってくれる」から「AIと一緒に作る」という意識にシフトすることが、業務効率化の鍵となります。
便利なツールを使いこなし、自分のアイデアを形にできる力は、これからの時代において最大の武器になります。
まずは仕組みを理解し、小さな実験を繰り返すことから始めてみてください。
見えない部分への理解が深まれば、AIはより頼もしいパートナーとして、あなたの創造力を支えてくれるはずです。
