EC事業者が知っておくべき景品表示法の基本

この記事は2026年2月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)

ECサイトを運営していると、景品表示法(景表法)に触れる場面が意外と多いです。「知らなかった」で済まされないのがこの法律の怖さで、違反すると課徴金や措置命令を受ける可能性があります。自分もECサポートの仕事をしているなかで、クライアントの商品ページを見て「これ、まずいかも」と感じることがあります。

この記事では、EC事業者が最低限押さえておくべき景表法のポイントを、自分の経験も交えてまとめます。

景品表示法とは何か

景品表示法は、消費者を不当な広告や表示から守るための法律です。正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。消費者庁が所管していて、EC事業者にとっては商品ページ、広告、メルマガ、SNSの投稿まで、すべてが規制の対象になり得ます。

ざっくり言えば「嘘をつくな」「誤解させるな」という法律ですが、問題は「嘘をつくつもりがなくても違反になる」ということです。知識がないと、悪意なく踏み抜いてしまいます。

自分がECサポートを始めた頃、あるクライアントの商品ページに「日本一の品質」と書いてありました。クライアントに聞くと「うちの社長がそう言ってるから」という理由です。これ、根拠がなければ完全にアウトです。悪気はないけど、法律的にはアウトです。こういうケースが本当に多いです。

EC事業者が特に注意すべき3つの規制

1. 優良誤認表示

商品の品質や性能を、実際よりも著しく良く見せる表示のことです。

たとえば「業界最安値」と書いているけど実際にはもっと安い店があります。「効果抜群」と書いているけど科学的根拠がありません。こういうのは典型的な優良誤認表示になります。

自分がよく見かけるのは、健康食品やサプリメント系の商品ページです。「飲むだけで−5kg」みたいな表現は、根拠がなければ完全にアウトです。ECサポートの現場でも、こういう表現を使いたがるクライアントは多いですが、毎回止めています。

過去に対応した具体的なケースでは、あるサプリメント販売のクライアントが「リピート率95%」と書いていました。実際に確認すると、購入者100人中2人しかリピートデータがなく、そのうち1人がリピートしていただけでした。母数が少なすぎて統計的に意味がない数字です。こういう「一見もっともらしいけど根拠が薄い」表現が一番危ないです。

2. 有利誤認表示

価格や取引条件を、実際よりも有利に見せる表示のことです。

ECで一番引っかかりやすいのが「二重価格表示」です。「通常価格10,000円のところ、今だけ5,000円!」と書いてあるけど、通常価格で販売した実績がありません。これは有利誤認表示に該当します。

楽天やAmazonのセールでよく見る「◯%OFF」の表示も、元の価格に根拠がなければ違反になります。自分が見積もりを出すときにも、比較対象の価格が本当に妥当かは必ず確認するようにしています。

二重価格表示が適法になる条件は明確に決まっています。「通常価格」として表示する金額で、直近8週間のうち4週間以上販売した実績が必要です。つまり「一度だけ高値で出品して、すぐに値下げした」場合は通常価格として認められません。このルールを知らないEC事業者が多いと感じています。

ある食品ECのクライアントでは、年に一度しか販売しない季節商品に「通常価格5,000円→セール3,500円」と表示していました。年に一度しか販売しないのだから「通常価格」という概念自体が成り立ちません。指摘して修正してもらいましたが、こういう無意識の違反は本当に多いです。

3. ステルスマーケティング規制

2023年10月から施行されたステマ規制は、EC事業者にとって大きな変化でした。広告であることを隠して、あたかも第三者の感想のように見せる行為が「不当表示」として規制対象になりました。

具体的には、インフルエンサーに商品を提供してレビューを依頼したとき、「PR」や「広告」の表記がなければ違反になります。口コミやレビューの自作自演も同様です。

2024年には確約手続の導入、課徴金制度の拡充など、さらに規制が強化されています。2025年度の消費者庁の動きを見ても、No.1表示やステマへの取り締まりは強化の一途です。

自分がクライアントから相談を受けたケースで、「インフルエンサーに商品を無償提供してレビューしてもらった。でもお金は払っていないからPR表記は不要ですよね?」というものがありました。答えはノーです。金銭の支払いがなくても、商品を無償提供した時点で「広告」に該当します。この誤解は今でも多いです。

「No.1」「最安」表示の落とし穴

ECサイトでよく見る「顧客満足度No.1」「売上No.1」といった表示。これ、客観的な根拠がなければ景表法違反になります。

根拠として認められるのは、第三者機関による調査結果で、調査方法・対象・時期が明示されていることです。自社でアンケートを取って「満足度No.1」と言うのは、調査の客観性が担保されないので危ないです。

消費者庁は2025年度もNo.1表示に対する監視を強化しており、実際に課徴金を命じられた事例は直近1年間で総額3億円を超えています。「うちは小さいから大丈夫」は通用しない時代になっています。

No.1表示を使いたい場合の正しいやり方を説明します。まず、第三者の調査会社に依頼します。調査対象・調査方法・調査期間・サンプル数を明記します。調査結果をページ上に引用する際は、調査の詳細がわかるリンクまたは注釈を付けます。ここまでやって初めて「No.1」と言えます。コストはかかりますが、課徴金のリスクを考えれば安いものです。

AIで商品説明文を書くときの注意点

ChatGPTやClaudeで商品説明文を生成する人が増えていますが、ここにも注意が必要です。AIは「売れそうな文章」を書くのが得意だから、放っておくと「最高品質」「驚きの効果」「圧倒的な人気」みたいな誇張表現をバンバン使います。

自分はAIに商品説明文を書かせるとき、プロンプトに「景品表示法に抵触する可能性のある表現は使わないでください」と入れています。さらに生成後に「この文章の中で、景表法に抵触する可能性のある表現をハイライトしてください」と追加で指示します。二重チェックの仕組みです。

それでも最終確認は人間がやるべきです。AIは法律の専門家ではないし、業界特有のグレーゾーンまでは判断できません。

実際にあった失敗談として、AIに商品説明文を書かせたところ「お客様の声で圧倒的な支持」という表現が入っていました。これ、「圧倒的」という表現自体がグレーだし、お客様の声がどこから来ているかも不明確でした。自動チェックで弾けなかったので、目視確認で修正しました。プロンプトに入れるだけでは不十分で、最終的な目視確認は省略できないということを改めて学びました。

違反した場合のリスク

景表法に違反すると、以下のリスクがあります。

  • 措置命令:違反行為の差し止めと再発防止策の実施を命じられる
  • 課徴金:違反行為による売上の3%が課徴金として徴収される
  • 社名公表:消費者庁のウェブサイトで社名と違反内容が公開される
  • 信頼失墜:特にECでは口コミやレビューで拡散され、ブランドイメージが大きく毀損する

2024年の改正で課徴金制度も拡充されました。知らなかったでは済まされませんし、売上規模が小さくても対象になります。

小規模EC事業者が「うちみたいな小さな店は見逃してもらえる」と考えるのは危険です。消費者庁はネット上の表示を定期的にモニタリングしていて、通報窓口からの情報提供も活用しています。実際、年商数百万円規模のショップに措置命令が出たケースもあります。違反が見つかったとき「知らなかった」は免責事由になりません。

実務で使えるチェックリスト

自分がクライアントの商品ページをチェックするときに使っているポイントをまとめておきます。

  • 「No.1」「最安」「最高」などの表現に客観的な根拠があるか
  • セール価格の比較対象(元値)は、実際に一定期間販売した実績があるか
  • 効果や効能をうたう場合、科学的根拠があるか
  • 口コミやレビューは実際のユーザーのものか。提供レビューにはPR表記があるか
  • AIが生成した文章に誇張表現が含まれていないか
  • 「期間限定」の表示は、実際に期間が限定されているか
  • 「残りわずか」の表示は、実際の在庫状況と一致しているか
  • 商品画像が実物と著しく異なっていないか(加工しすぎていないか)

このチェックリストをスプレッドシートにして、新しい商品ページを公開する前に必ず通すようにしています。時間にして1ページあたり10分程度です。この10分で、課徴金のリスクを回避できるなら安い投資です。

景表法対応を仕組み化するために

チェックリストがあっても、運用が属人的だと意味がありません。自分がクライアントに提案しているのは、商品ページ公開前のレビューフローを業務プロセスに組み込むことです。

具体的には、商品ページの作成→チェックリストに基づくセルフチェック→別の担当者によるクロスチェック→公開、という3段階のフローを作ります。セルフチェックだけだと、書いた本人は「問題ない」と思い込みやすいので、必ず別の目を通します。スタッフが1人しかいないなら、AIにクロスチェックをさせるのも有効です。「この商品説明文を景品表示法の観点でレビューしてください」とAIに頼みます。

完璧な仕組みは存在しませんが、「なんとなくOK」で公開するのと、チェックを通してから公開するのでは、リスクの大きさが全然違います。

まとめ

景品表示法は「知らなかった」が通用しない法律です。EC事業者なら最低限の知識は持っておくべきですし、AIを使って商品説明文を書く時代だからこそ、チェック体制が重要になります。

自分もECサポートの仕事のなかで、景表法に引っかかりそうな表現を見つけたら必ず指摘するようにしています。お客さんのためにも、消費者のためにも。売上を伸ばしたい気持ちはわかりますが、法律を守ったうえでの勝負が大前提だと思っています。

詳しくは消費者庁のウェブサイトを確認してください。判断に迷ったら、専門家に相談することをおすすめします。

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