EC運営で「やめてよかったこと」リスト

この記事は2025年3月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)

EC運営を始めた頃は、「やらなければいけないこと」が多すぎて疲弊していました。売上を伸ばすにはあれもこれもやらないといけません。そう信じて、手当たり次第に施策を増やしていた時期があります。SNS毎日投稿、全モール出店、セール全参加、全商品在庫確保。全部やっていました。

でも振り返ると、売上が安定し始めたのは施策を増やしたときではなく、むしろ何かをやめたときでした。「止めるに勝る改善なし」という言葉がEC業界でも言われていますが、まさにそれを実感しています。自分がやめて効果があったことを、具体的な数字と経緯を交えて書きます。

やめてよかったこと1:毎日のSNS投稿

「毎日投稿しないとフォロワーが減る」「アルゴリズムに嫌われる」「投稿頻度が大事」。ECのSNS運用ではよく言われることです。自分もそれを信じて、1年以上Instagramに毎日投稿していました。

毎日投稿のルーティンはこうでした。朝30分で写真を選んで加工します。キャプションを考えます。ハッシュタグを選びます。投稿します。合計で1日40〜50分。月にすると約20時間。この時間で記事を書いたり商品ページを改善したりできたはずです。

実際にやめてみたら、何も起きませんでした。フォロワーは減らなかったし、エンゲージメント率はむしろ上がりました。週2〜3回に減らしたことで、1回あたりの投稿にかけられる時間が増え、写真の質とキャプションの質が上がったからだと分析しています。

数字で言うと、毎日投稿時のエンゲージメント率は平均2.1%。週3回にしてからは3.8%に上がりました。投稿数は半分以下になったのに、反応は増えました。量より質という当たり前のことを、身をもって経験しました。

2026年現在、InstagramやTikTokのアルゴリズムは投稿頻度よりも「滞在時間」「保存数」「シェア数」を重視する方向に変わっています。毎日投稿の時代は、少なくとも小規模ECにとっては終わったと感じています。

やめてよかったこと2:すべてのモールへの出店

楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社サイト。「販路は多いほうがいい」と信じて、全部に出店していた時期がありました。

結果、管理工数が爆発しました。商品情報の更新を4つのモールに反映します。在庫の同期が間に合わず、欠品と過剰在庫が同時に起きます。各モールの仕様変更やガイドライン改訂に対応します。問い合わせが4チャネルから届く。セールのタイミングがモールごとに違うので、1ヶ月の半分がセール対応に費やされます。

4つのモールの月額固定費を計算してみたら、楽天が約5万円、Amazonが約5,000円、Yahoo!が約2万円、自社サイトのサーバー代が約5,000円。月額だけで8万円です。ここに広告費、クーポン原資、ポイント負担が乗ります。4モールを中途半端に運営するより、2モールに集中するほうが成果が出ると気づくのに2年かかりました。

今は楽天と自社サイトの2つに絞っています。楽天は集客力が強いです。自社サイトは手数料が低く利益率が高いです。全モール出店時代と比べて売上は約15%下がりましたが、利益は約25%増えました。売上よりも利益を見るようになったのは、この経験がきっかけです。

やめてよかったこと3:セール依存の販売

楽天スーパーセール、お買い物マラソン、5と0のつく日。イベントのたびにクーポンを発行し、ポイントを10倍に設定し、広告を増やす。売上は立ちます。でも、利益が残りません。

ある月の数字を振り返ってみたら、セール期間中の売上が月商の62%を占めていました。逆に言えば、通常営業日の売上は38%しかありません。これは完全にセール依存です。お客さんも学習していて、「セールのときに買えばいい」と思うようになります。通常時の購入がどんどん減る悪循環に入っていました。

セール参加頻度を半分に減らしました。楽天スーパーセール(3月、6月、9月、12月)は参加するけど、お買い物マラソンは月に1回だけ。5と0のつく日のポイントアップも、全部ではなく選択的に。その代わり、通常時の商品ページの改善に時間を使いました。商品写真の撮り直し、商品説明文の書き直し、レビュー獲得の仕組み作り。お客さんが「セールじゃなくても買いたい」と思える状態を作ることに注力しました。

結果、セール売上の比率は62%から40%に下がり、通常時の売上が伸びて、全体の利益率が改善しました。

やめてよかったこと4:全商品の在庫を持つこと

「欠品は機会損失」と考えて、カタログに載っている全商品(約200SKU)の在庫を持っていました。その結果、倉庫の棚の40%が年に数個しか売れない商品で埋まっていました。

ABC分析をやりました。A列にSKU、B列に年間販売数、C列に年間売上を入力して、売上降順でソート。売上の80%を生み出しているA・Bランク商品は全体の約60SKU(30%)。残りの140SKU(70%)のCランク商品は、年間売上貢献がわずか20%でした。

Cランク商品のうち、年間販売数が5個以下のものを在庫廃止にしました。約80SKU。商品ページは残して、「お取り寄せ商品(発送まで3〜5営業日)」と明記しました。結果、注文数はほとんど変わりませんでした。お客さんは多少待ってでも欲しいものは注文します。

在庫を減らしたことで保管スペースが30%ほど空きました。そのスペースを売れ筋商品のストック増に回すことで、Aランク商品の欠品率が下がり、結果的に売上が上がりました。在庫にかかるキャッシュフローの改善も大きかったです。

やめてよかったこと5:手作業でのデータ入力

受注データの処理、在庫数の更新、売上レポートの作成。これらを手作業でスプレッドシートに入力していました。1日30分から1時間。地味だけど確実に時間を食う作業です。

2025年後半から、APIとGAS(Google Apps Script)を使ってこれらの作業を半自動化しました。楽天のRMSからCSVをダウンロードして、GASでスプレッドシートに取り込み、集計します。完全自動ではありませんが、手作業の部分が大幅に減りました。毎日の作業時間は1時間から10分に。年間に換算すると約300時間の削減です。

2026年現在、RPAツールや生成AIとの組み合わせでEC業務を自動化する事例が増えています。少人数のEC事業者こそ、こうした自動化の恩恵を受けやすいと思います。人を雇うより安く、ミスも少ないです。

共通するポイント

やめてよかったことに共通しているのは、「やっているほうが安心するけど、実は効果が薄い」ということです。毎日投稿しているほうが安心します。全モールに出店しているほうが安心します。在庫を持っているほうが安心します。でも、その安心感の裏でリソースが分散し、本当に注力すべきことに時間が使えていませんでした。

惰性で続けていたことをやめるのは勇気がいります。「やめたら売上が落ちるかもしれない」という恐怖は当然あります。でも実際にやめてみると、売上への影響は思ったより小さく、浮いたリソースを集中投下できるようになるメリットのほうがはるかに大きかったです。

まとめ

EC運営では「何を始めるか」より「何をやめるか」のほうが大事だと思います。やることを減らして、残ったものに集中します。シンプルですが、効果は確実です。

自分の場合は、SNSの毎日投稿、複数モール出店、セール依存、過剰在庫、手作業のデータ入力。この5つをやめたことで、月20時間以上のリソースが浮き、利益率も改善しました。同じ悩みを抱えているEC事業者の方は、まず「やめても大丈夫なもの」を1つ見つけるところから始めてみてください。

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