EC事業の売上が伸びないときに見直すべき3つの数字

この記事は2025年11月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)

「売上が伸びない」。EC事業の支援をしていて、一番多く受ける相談がこれです。でも「売上が伸びない」だけだと、何をすればいいかわかりません。原因が見えないのに対策を打っても、的外れになるだけです。

自分がまず確認するのは、たった3つの数字です。アクセス数、転換率(CVR)、客単価。ECの売上はこの3つの掛け算で決まります。売上=アクセス数×CVR×客単価。どの数字に問題があるかを特定すれば、やるべきことが見えてきます。当たり前のことだと思うかもしれませんが、意外とこの基本に立ち返らずに闇雲に施策を打っている人が多いです。

1. アクセス数(セッション数)を確認する

そもそもお客さんが来ていない場合、どんなに商品が良くても売れません。まず見るべきはアクセス数です。

楽天やAmazonなら管理画面でアクセス数(セッション数)が見られます。自社ECサイトならGoogleアナリティクス(GA4)を使います。GA4に切り替わってから管理画面が変わって戸惑う人が多いですが、「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」で基本的なアクセス数は確認できます。

目安の計算方法

月の売上目標を平均客単価で割ると、必要な注文数がわかります。注文数をCVR(転換率)で割ると、必要なアクセス数がわかります。

例:売上目標100万円、客単価5,000円、CVR 2%の場合。必要な注文数は200件。必要なアクセス数は200÷0.02=10,000セッション。

現在のアクセス数がこの目安に対して大幅に足りないなら、まず集客を強化すべきです。商品ページの改善やCVR対策は後回しで構いません。

アクセスが少ない場合の対策

楽天やAmazonの場合、検索結果での表示順位が重要になります。商品名にキーワードを入れる、レビューを増やす、楽天の場合はRPP広告(検索連動型広告)を活用します。自社サイトの場合はSEO対策、SNS運用、Google広告(リスティング広告)が基本的な集客手段です。

2025〜2026年のトレンドとしては、Instagramのリール動画やTikTok経由のEC流入が増えています。特にアパレルや食品など、ビジュアルで訴求しやすい商材はショート動画との相性が良いです。また、GoogleのAI概要(SGE)の普及で、従来型のSEOだけでは自然検索からの流入が減る可能性があります。複数の集客チャネルを持っておくことが、以前にも増して重要になっています。

2. 転換率(CVR)を確認する

アクセスはあるのに売れない場合は、CVRに問題があります。CVR(コンバージョンレート)は、アクセスした人のうち何%が購入したかを示す数字です。

業界平均は大まかに以下の通りです。楽天:3〜5%。Amazon:5〜10%(カテゴリによる)。自社ECサイト:1〜3%。これより大幅に低い場合は、商品ページや購入プロセスに問題がある可能性が高いです。

CVRが低い場合のチェックポイント

まず商品ページです。写真のクオリティは十分か。商品説明は具体的か。サイズや仕様の情報は不足していないか。レビューはあるか。ユーザーが「これ買って大丈夫かな」と不安に思う要素がないか。自分がよくクライアントに言うのは「お客さんの不安を1つずつ潰していく」ことです。写真が暗い、説明が少ない、レビューがゼロ。これらは全部「不安要素」です。

次に購入プロセスです。自社サイトの場合、カートに入れてから決済完了までのステップが多すぎないか。会員登録を強制していないか。決済方法は十分か。クレジットカード、コンビニ払い、後払い(BNPL)、電子マネー。決済手段が少ないと、それだけで離脱が増えます。2026年現在、後払い決済のニーズが年々増加しています。atone、Paidyなどのサービスの導入を検討する価値はあります。

また、スマホでの表示も必ず確認します。ECサイトのアクセスの7〜8割はスマホからです。PCで見て問題なくても、スマホで見ると商品画像が小さい、ボタンが押しにくい、テキストが読みにくいということがあります。スマホファーストで考えることが必須です。

3. 客単価を確認する

アクセスもCVRも悪くないのに売上が伸びない場合、客単価が低い可能性があります。1人あたりの購入金額を上げる施策を考えます。

客単価は「商品単価×購入点数」で構成されます。つまり、高い商品を買ってもらうか、複数の商品を買ってもらうかです。

客単価を上げる具体的な方法

アップセル。上位モデルや大容量パックへの誘導です。「こちらもおすすめ」で上位商品を表示します。楽天の場合、商品ページ内に「お得なセット」や「まとめ買い割引」のバナーを設置するのが効果的です。

クロスセル。関連商品の提案です。カメラを買う人にメモリーカードやケースを提案する、シャンプーを買う人にトリートメントを提案します。Amazonの「よく一緒に購入されている商品」が典型例です。自社サイトでも同様の機能を実装できます。

送料無料の閾値設定。「3,000円以上で送料無料」のように、送料無料ラインを設定します。これだけで客単価が上がることは多いです。閾値は現在の平均客単価の1.2〜1.5倍くらいに設定するのがコツです。平均客単価が2,500円なら、送料無料ラインは3,000〜3,500円。「あと500円で送料無料」と思うと、もう1品追加する心理が働きます。

セット販売。単品で売るよりセットのほうが売れることがあります。特にギフト需要がある商品はセット化が有効です。セットにすると利益率も高くなりやすいです。

3つの数字をどう使い分けるか

この3つの数字のどれを優先すべきかは、現状によって違います。

アクセスが月1,000未満なら、まず集客に集中します。ページの改善は後でいいです。人が来なければ、何をしても売れません。

アクセスはあるのにCVRが業界平均の半分以下なら、商品ページと購入プロセスの改善が最優先です。穴の空いたバケツに水を入れても溜まりません。

アクセスもCVRも平均的なら、客単価の向上に取り組みます。アップセル、クロスセル、送料無料の閾値設定。これらは比較的実装が簡単で、すぐに効果が出やすいです。

重要なのは「全部同時にやろうとしない」ことです。3つの数字を見て、一番改善の余地が大きいところに集中します。ECの支援をしていると、「全部やりたい」という経営者が多いです。気持ちはわかりますが、リソースは有限です。優先順位をつけて、1つずつ改善していくほうが結果的に速いです。

実際の改善事例

自分が支援したあるクライアントの例を紹介します。食品系のECサイトで、月商50万円からの相談でした。

まず3つの数字を確認しました。アクセス数は月3,000セッション、CVRは1.5%、客単価は3,200円。月商50万円≒3,000×0.015×3,200=144,000円。実際には楽天と自社サイトの合計だったので計算はもう少し複雑ですが、概算としてはこんな感じでした。

一番の問題はアクセス数の少なさでした。楽天のRPP広告を月3万円の予算で開始し、商品名のキーワードを最適化しました。3ヶ月後にアクセスが倍の6,000セッションになりました。同時に商品ページの写真を改善(プロカメラマンに依頼)し、CVRが1.5%→2.8%に改善しました。客単価は送料無料ラインの設定で3,200円→3,800円になりました。結果、月商が約64万円になりました。半年後には月商100万円を超えました。

特別なことはやっていません。3つの数字を確認して、一番効果がありそうなところから手をつけただけです。

まとめ

EC事業の売上が伸びないとき、まず見るべきはアクセス数、CVR、客単価の3つです。これらは「売上=アクセス数×CVR×客単価」という公式で連動しています。どの数字に問題があるかを特定して、そこに集中して改善します。

全部同時にやろうとしないことです。一番改善の余地が大きいところから始めます。数字を見て判断すれば、やるべきことは自然に見えてきます。感覚ではなくデータで判断する。これがEC事業の売上改善の基本だと、何度も経験して確信しています。

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