この記事は2025年9月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)
クライアントから受け取ったWordやExcelのファイルに、大量の画像が貼り付けられていることがあります。商品カタログ、提案書、マニュアル。「画像データも別途送ってください」とお願いできればいいのですが、相手が忙しかったり、元データが手元にないと言われることもあります。
1枚ずつ右クリックで「図として保存」するのは面倒だし、画質も落ちます。実は、もっと簡単で高画質な方法があります。OfficeファイルをZIPとして扱うだけです。知らなかったときは本当に損していました。EC運営では特によく使う方法なので、手順を詳しく書きます。
やり方(Windows・Mac共通)
手順はシンプルです。特別なソフトも技術的な知識も不要です。4ステップで終わります。
- 元ファイルをコピーします。対象のWordファイル(.docx)やExcelファイル(.xlsx)を、まずコピーしておきます。これはバックアップです。万が一拡張子の変更で問題が起きても、元ファイルは無事です
- コピーの拡張子を「.zip」に変更します。ファイル名の「.docx」や「.xlsx」を「.zip」に書き換えます。(例:商品カタログ.docx → 商品カタログ.zip)
- ZIPファイルを解凍します。Windowsなら右クリック→「すべて展開」。Macならダブルクリックで自動解凍です
- mediaフォルダを開きます。解凍されたフォルダの中にある「word/media」(Wordの場合)または「xl/media」(Excelの場合)フォルダを開きます。ファイル内で使われていた画像が、すべて個別ファイルとして入っています
PowerPoint(.pptx)でも同じ方法が使えます。その場合は「ppt/media」フォルダです。
以上です。特別なソフトは何もいりません。ファイル名を変更して解凍するだけです。それだけで、ドキュメント内のすべての画像が一括で手に入ります。
拡張子の変更でつまずいたときの対処法
拡張子の変更でつまずく人が意外と多いので、OSごとに補足します。
Windowsの場合。初期設定では拡張子が表示されていないことがあります。エクスプローラーの上部メニュー「表示」→「ファイル名拡張子」にチェックを入れてください。これで拡張子が表示されます。あとはファイルを右クリック→「名前の変更」で、拡張子を.zipに変えるだけです。「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります」という警告が出ますが、「はい」で進んで大丈夫です。コピーで作業しているので、元ファイルには影響しません。
macOSの場合。Finderの「設定」→「詳細」→「すべてのファイル名拡張子を表示」をONにします。ファイルを選択して、Enterキー(またはファイル名をゆっくり2回クリック)で名前を編集できる状態にしたら、拡張子を.zipに変更します。「”.zip”を使用」をクリックします。macOSの場合、ダブルクリックで自動的にZIPが解凍されます。
なぜこの方法が使えるのか
.docx、.xlsx、.pptxの実態は、ZIPで圧縮された複数のファイルの集まりです。テキストデータ(XML形式)、スタイル情報、そして画像ファイルが、一つのZIPアーカイブにまとめられています。Microsoft Office 2007以降、この形式(Open XML Format)が標準になりました。だから拡張子を変えるだけで中身が見えるのです。
解凍後のフォルダ構造はこんな感じです(Wordの場合)。
- [Content_Types].xml
- _rels/
- word/
- document.xml(本文のテキストデータ)
- styles.xml(スタイル情報)
- media/(ここに画像が入っている)
- image1.png
- image2.jpeg
- image3.emf
media/フォルダの中に、文書で使われている画像がすべて格納されています。形式はPNG、JPEG、EMF、WMFなど、元の画像形式がそのまま保持されます。
「図として保存」よりも高画質で取り出せる理由
Wordの右クリックメニューにある「図として保存」を使う方法もあります。手軽ではありますが、大きな弱点があります。
文書内で縮小表示されている画像は、「図として保存」を使うと縮小されたサイズに近い画質で保存されてしまうことがあります。元画像が3000×2000ピクセル(高解像度)でも、文書内で小さく表示されていると、低解像度で保存される場合があります。
ZIP解凍で取り出す方法なら、埋め込まれた元の画像ファイルがそのまま手に入ります。リサイズもされていないし、圧縮もかかっていません。ファイルサイズも元のままです。ECの商品画像など、高画質が絶対に必要な場面では、必ずこちらの方法を使ってください。
実際に比較してみたことがあります。3000×2000ピクセルの商品写真がWord内で幅200ピクセル程度に縮小されて貼られていたケースです。「図として保存」では800×533ピクセルの画像が保存されました。ZIP解凍では元の3000×2000ピクセルがそのまま取り出せました。画質の差は歴然でした。
7-Zipを使う方法(拡張子を変えずに済む)
拡張子を変更するのが面倒だったり、変更に不安がある人には、7-Zipという無料ソフトを使う方法もあります。
- 7-Zipをインストールします(Windowsの場合。Macの場合はThe UnarchiverやKeka)
- Officeファイルを右クリック→「7-Zip」→「開く」を選択します
- そのままフォルダ構造が表示されるので、word/media(またはxl/media)フォルダに移動します
- 画像ファイルを選択して「展開」します
この方法なら拡張子を変更する必要がないので、元ファイルに一切手を加えずに済みます。頻繁にこの作業をする人は、7-Zipを入れておくと作業が速いです。右クリックメニューに組み込まれるので、2クリックで中身が見えます。
EC運営での活用場面
自分がこの方法を一番よく使うのは、EC運営の場面です。具体的にはこんなケースです。
- メーカーからの商品カタログ。メーカーがWordやExcelで作った商品カタログが届くことがあります。商品画像が数十枚〜数百枚貼り付けられています。これを1枚ずつ保存していたら1時間以上かかります。ZIP解凍なら数秒です
- クライアントからの素材データ。「Excelにまとめました」と言って、商品写真をExcelに貼り付けて送ってくるクライアントがいます。「画像ファイルで送ってください」と言い直すより、こちらでZIP解凍したほうが早いです
- 過去の提案書からの図版再利用。以前作った提案書に使った図やグラフを再利用したいときに使います。元の画像ファイルが見つからなくても、提案書のdocxから取り出せます
- 競合調査の資料整理。Webからダウンロードした資料(Word/Excel/PowerPoint形式)に含まれるグラフや図を取り出して分析に使います
特にメーカーのカタログは画像枚数が多いので、この方法を知っているかどうかで作業効率が桁違いに変わります。
注意点まとめ
便利な方法ですが、いくつか注意点があります。
- 古い形式では使えません。.doc、.xls、.pptの古い形式はバイナリ形式なのでZIP解凍ができません。.docx、.xlsx、.pptxのみ対応しています。古い形式のファイルを受け取った場合は、一度Officeで開いて「名前を付けて保存」で新しい形式に変換してから試してください
- 必ず元ファイルのコピーで作業してください。拡張子を変更すると元に戻しても動作がおかしくなることがまれにあります。必ずコピーを作ってから作業してください
- 画像のファイル名は連番になります。取り出した画像は「image1.png」「image2.jpeg」のような連番です。元のファイル名は保持されません。大量の画像を取り出した場合は、手動で名前を付け直す必要があります
- トリミング前の画像が取り出されます。これは重要です。Word上でトリミング(切り抜き)した画像でも、元の画像全体がファイルに保存されています。つまり、トリミングで隠した部分も取り出せます。社外秘の情報が映り込んでいる場合は要注意です。自分が送る側の場合は、Word上でトリミングするだけでなく、画像編集ソフトで実際に切り取ってから貼り直してください
- EMF/WMF形式の画像がある場合があります。グラフや図形がEMFやWMF形式で保存されていることがあります。これらはベクター形式なので、一般的な画像ビューアーでは開けないことがあります。必要に応じてPNGやJPEGに変換してください
Googleドキュメント/スプレッドシートの場合
ちなみに、Googleドキュメントやスプレッドシートに貼られた画像を取り出したい場合は、別の方法を使います。「ファイル」→「ダウンロード」→「ウェブページ(.html、zip)」を選ぶと、HTML形式でダウンロードされ、画像は「images」フォルダにまとめて入っています。こちらも覚えておくと便利です。
この方法を知ったのは3年前ですが、それ以来月に2〜3回は使っています。特にEC運営をしている人や、デザイナーなど画像素材を多く扱う職種の人には、知っておいてほしいテクニックです。一度覚えたら一生使えます。
補足として、この方法はOfficeファイルの中身を理解するのにも役立ちます。「WordやExcelの実態はZIPファイルの中にXMLが入っている」と知っているだけで、ファイルの扱い方の幅が広がります。たとえば、Wordファイルのサイズが異常に大きいとき、ZIP解凍してmediaフォルダを確認すると、不要な高解像度画像が原因だとわかることがあります。画像を圧縮してから貼り直せば、ファイルサイズが半分以下になることもあります。こういった知識は、デジタルで仕事をするすべての人にとって役立つ基礎知識です。
まとめ
ExcelやWordから画像を一括で取り出す方法は、拡張子を.zipに変えて解凍するだけです。特別なソフトは不要で、「図として保存」よりも高画質で取り出せます。EC運営やデザイン業務で画像素材をよく扱う人は、覚えておいて損はないテクニックです。一度やり方を覚えたら、次からは10秒で終わる作業です。知っているかどうかで効率が大きく変わります。
