この記事は2025年10月に公開し、最新の情報をもとに随時更新しています。(最終更新:2026年3月)
クラウド会計ソフトのfreeeとマネーフォワード。どちらも使ったことがある立場から、正直な比較を書きます。
小さな会社では、値下げに応じる場合でも、同時に対応範囲や納期、修正回数を調整しないと粗利が崩れます。AIは質問リストや説明文の整理には使い、価格・責任範囲・契約条件は事業者自身が確認する。この線引きを持つだけで、効率化と防衛の両方に効きます。
お金や契約に関わる作業では、AIやテンプレートで作業時間を減らせても、最終判断まで任せるのは危険です。金額、税率、支払期限、作業範囲、納期、修正回数、キャンセル条件、権利の帰属は、後から揉めやすい項目です。
freeeとマネーフォワード、どちらを選ぶかを実務に落とすときの確認事項
最初に決めること:自分はfreeeを使っている
現在はfreeeをメインで使っています。選んだ理由は、操作がシンプルだったからです。
自分は経理の専門知識がありません。簿記の知識もない。そういう人間でも使えるのがfreeeでした。取引の入力が「収入」「支出」のシンプルな形式で、仕訳のことを考えなくていい。家計簿に近い感覚で記帳できます。
経理に詳しい人からすると「雑だ」と思うかもしれませんが、自分のようなタイプには、この「わかりやすさ」が継続のカギになっています。
マネーフォワードの良いところ
マネーフォワードは、経理の知識がある人には使いやすい会計ソフトだと思います。仕訳形式での入力ができるので、簿記がわかる人や税理士との連携が多い会社に向いています。
税理士にデータを共有するときも、マネーフォワードのほうがスムーズだという話はよく聞きます。仕訳データがそのまま税理士の業務ソフトと連携しやすい形式で出力されるからです。
銀行口座やクレジットカードとの連携数も多いです。特に地方銀行との連携はマネーフォワードのほうが充実している印象です。福岡の地方銀行を複数使っている事業者には、マネーフォワードのほうが便利かもしれません。
もうひとつ、複数年度にわたる詳細な財務諸表の作成や比較分析がしやすい。経営判断に必要なレポートを自分で出したい人には、マネーフォワードのほうが合うと思います。
マネーフォワードの弱点を挙げるなら、初心者にはハードルが高いこと。仕訳形式の入力に慣れていない人は、最初の段階でつまずきやすいです。「借方」「貸方」という概念が出てくるだけで、経理の知識がない人は身構えてしまいます。サポート体制は充実していますが、学習コストがfreeeより高いのは事実です。
freeeの良いところ
freeeの最大の強みは「経理がわからなくても使える」ことです。これに尽きます。
取引の入力画面がシンプルで、勘定科目を意識しなくても記帳できます。「収入があった」「支出があった」という事実をそのまま入力すれば、freeeが勘定科目を自動で推測してくれます。
スマホアプリの使い勝手もいいです。レシートを撮影すれば自動で読み取ってくれるので、出先でこまめに記帳したい人には便利です。確定申告もスマホだけで完結できます。
請求書の発行、経費精算、給与計算など、会計以外の機能も一通り揃っています。小さな会社がバックオフィス業務をfreee1本でまとめたい場合には、かなり楽です。
実際に自分がfreeeで使っている機能は、記帳、請求書発行、経費レポート、確定申告の4つです。給与計算は外注しているので使っていませんが、スタッフを雇っている事業者なら追加費用なしで使えるのは魅力です。
freeeの弱点もあります。仕訳の修正が直感的ではないことがある。簿記の言葉で考えようとすると、freeeの画面設計と合わない場面があります。また、レポート機能はマネーフォワードに比べると簡素です。詳細な損益分析や部門別の分析をしたい場合は、物足りなく感じるかもしれません。
2026年時点の料金比較
個人事業主向けプランで比較します。
- freee:スタータープラン 年額12,936円(月額1,078円)/ スタンダードプラン 年額26,136円
- マネーフォワード:パーソナルミニ 年額11,880円 / パーソナルプラン 年額17,880円
中価格帯のプラン同士で比較すると、マネーフォワードのパーソナルプランのほうが8,000円以上安いです。ただし、機能の範囲が異なるので、単純に価格だけで選ぶのは危険です。
自分が重要だと思うのは、「使い続けられるかどうか」です。安くても使いこなせなければ意味がないですし、高くても毎日の記帳が楽になるなら元は取れます。
ちなみに、どちらのサービスも年払いのほうが月払いより割安になります。月払いで試してみて、続けられそうだと思ったら年払いに切り替えるのが賢いやり方です。最初から年払いにして、使いこなせずに解約すると損をします。
無料期間については、freeeが最大30日間の無料トライアル、マネーフォワードも1ヶ月の無料期間があります。両方試したいなら、まずfreeeを30日間使って、次にマネーフォワードを1ヶ月使う。合計2ヶ月間、無料で比較できます。自分の実際のデータで試すのが、一番正確な比較方法です。
AI機能の進化
2025年後半から2026年にかけて、どちらのサービスもAI機能を強化しています。
freeeは「freee AI」として、取引の自動仕訳、レシート読み取りの精度向上、チャットでの経理相談機能を展開しています。特にレシート読み取りの精度は以前と比べてかなり上がりました。
マネーフォワードも同様に、AI自動仕訳の精度向上や、経営レポートの自動生成機能を追加しています。
正直なところ、AI機能については両者の差はほとんどありません。どちらも「使い続けるほど精度が上がる」タイプの自動仕訳を搭載しているので、実務上の差は小さいです。
業界シェアの現状
MM総研の2025年調査によると、クラウド会計ソフトの導入率は弥生が55.4%で1位、freeeが24%で2位、マネーフォワードが14.3%で3位です。弥生は以前からの実績があり、特に個人事業主に強いです。
シェアが大きいことは、それだけ「使い方のノウハウがネットに多い」「税理士がそのソフトに慣れている」ことを意味します。困ったときに情報が見つかりやすいのは、地味ですが重要なメリットです。
選び方の基準
両方使った経験から、こう整理しています。
- 経理の知識がない、とにかくシンプルに使いたい → freee
- 簿記がわかる、税理士と仕訳で会話したい → マネーフォワード
- 地方銀行を複数使っている → マネーフォワード(連携数が多い)
- スマホで記帳したい、出先で使いたい → freee(アプリの使い勝手が良い)
- バックオフィスを1つのサービスにまとめたい → freee(請求書・給与も対応)
- 詳細な財務分析がしたい → マネーフォワード(レポート機能が充実)
どちらも無料期間があるので、迷ったら両方試すのが一番確実です。実際に自分のデータを入力してみないと、使い勝手は判断できません。
弥生という選択肢
freeeとマネーフォワードの比較記事を書いておいてなんですが、弥生も候補に入れたほうがいいと思います。シェア1位には理由があります。
弥生は老舗だけあって、操作性が安定しています。また、初年度無料のプランがあるので、導入コストが低い。税理士との連携実績も豊富です。
自分がfreeeを選んだのは「UIが直感的だったから」という個人的な理由であって、弥生やマネーフォワードが劣っているわけではありません。周りの個人事業主に聞くと、弥生を使っている人が一番多いです。「青色申告オンライン」は初年度無料、2年目以降も年額1万円以下で使えるので、コスト面では最も優秀です。操作に迷ったときに検索すると、弥生の情報が一番多くヒットするのも強みです。
導入時にやっておくべきこと
どのサービスを選ぶにせよ、導入時にやっておいたほうがいいことがあります。実際に自分がfreeeを導入したときの手順を書いておきます。
- 銀行口座・クレジットカードの連携:これが最優先です。連携すると取引データが自動で取り込まれるので、手入力の手間が激減します。事業用の口座とカードをすべて連携しておきます。個人用と事業用を分けていない場合は、これを機に分けることをお勧めします
- 勘定科目の初期設定:自分の事業でよく使う勘定科目を確認して、必要があればカスタマイズします。freeeの場合は自動推測してくれますが、正確に推測させるには最初の数十件を正しく登録する必要があります
- 開始残高の入力:年度の途中から使い始める場合、前年度の残高を正しく入力しておかないと帳簿が合わなくなります。税理士に確認してもらうのが確実です
- レシート撮影の習慣づけ:スマホアプリを入れて、経費が発生したその場でレシートを撮影する習慣をつけます。溜め込むと面倒になって挫折する。自分は「レシートをもらったら3秒以内に撮影」をルールにしています
最初の1ヶ月は面倒に感じるかもしれません。でも、銀行口座の連携さえ済めば、2ヶ月目からはほぼ自動で取引が取り込まれます。この「最初の1ヶ月」を乗り越えられるかどうかが、クラウド会計の定着を左右します。
税理士との連携を考える
個人事業主や小さな会社の場合、「税理士を使うかどうか」も会計ソフト選びに影響します。
税理士を使わない場合は、freeeのシンプルさが活きます。確定申告まで一人で完結できるように設計されているからです。スマホで確定申告を完了できるのは、freeeの大きな強みです。
税理士に記帳代行を依頼する場合は、その税理士がどのソフトに対応しているか確認しておくのが大事です。税理士によって得意なソフトが違います。「freeeしか対応していません」「マネーフォワード推奨です」というケースもある。ソフトを決める前に、税理士に聞くのが確実です。
自分の場合は、確定申告だけ税理士にチェックしてもらっています。日常の記帳はfreeeで自分がやり、年に1回、決算データを税理士に共有して最終確認を受ける形です。このスタイルなら、税理士費用も年間10万円程度で済んでいます。
次に読むと実務に落とし込みやすい記事
発信やWeb運用は、記事を増やすだけではなく、社内の知見を整理して再利用できる形にすることで成果につながりやすくなります。
参考にした公式・一次情報
AIは、過去の見積の整理、説明文の下書き、質問リスト、契約書チェック項目の洗い出しに使うと効果があります。一方で、最終的な金額や責任範囲は、事業者自身が決める領域です。この記事のテーマは、効率化だけでなく、後から揉めないための線引きとして読むと実務に落とし込みやすくなります。
小さな会社での現実的な使い方
- 金額、単価、数量、税率、支払期限、納期、作業範囲、修正回数、キャンセル条件。
- 価格を下げる場合は、同時に納期、対応範囲、成果物、サポート回数も見直す。
- 税務・契約・下請取引・価格転嫁に関わる判断は、国税庁、中小企業庁、公正取引委員会などの一次情報で確認する。
人間が必ず見る項目
お金まわりの記事では、単に楽にする、安くする、早く作るという話だけでは不十分です。小さな会社では、見積、請求、税務、契約、価格交渉の一つのミスが、粗利や信用に直接響きます。AIやテンプレートを使う場合も、作業を速くすることと、最終判断を安全にすることを分けて考える必要があります。
freeeとマネーフォワード、どちらを選ぶかで確認したいお金と責任範囲
お金や契約に関わる作業は、効率化しても責任は軽くなりません。金額、税率、支払期限、納期、作業範囲、修正回数、キャンセル条件は、後から揉めやすい項目です。AIやテンプレートで下書きを作る場合でも、最後は一次情報と自社の利益構造に照らして確認する必要があります。
freeeとマネーフォワード、どちらを選ぶかで守るべきライン
まとめ
freee、マネーフォワード、弥生。どれも良いツールです。「どれが最強か」ではなく、「自分に合うのはどれか」で選ぶのが正解だと思います。
判断基準は「自分の経理スキル」と「税理士との連携方法」です。この2つを軸に選べば、大きな失敗はありません。迷ったら無料期間で実際に試してみてください。使ってみれば、自分に合うかどうかはすぐわかります。大事なのは、どのソフトを選ぶかより、選んだソフトで記帳を「継続する」ことです。まずは1つ選んで、今日から始めてみてください。
比較軸は機能数ではなく、社内運用に乗るか
クラウド会計は、機能表だけで選ぶと失敗します。小さな会社で見るべきなのは、請求書、入金確認、未入金アラート、税理士共有、Slack通知までの流れがどれだけ自然に回るかです。会計ソフト単体ではなく、会社の確認作業をどこまで減らせるかで判断します。
- 請求書発行から入金確認までの流れ
- 未入金の見落としを防げるか
- APIやCSVで外部自動化につなげやすいか
- 税理士・社内担当者が同じ画面で確認しやすいか

