バックアップの大切さを痛感した話

Googleドライブの共有設定をミスって、クライアントのファイルにアクセスできなくなりました。復旧に丸1日かかりました。あの日から、バックアップに対する考え方が完全に変わりました。

何が起きたのか

プロジェクトフォルダを整理しているとき、共有設定を誤って変更してしまいました。特定のファイルへのアクセス権が無効になり、クライアントから「ファイルが見れません」と連絡が入りました。

冷や汗が出ました。

Google管理コンソールからアクセス権を復旧できたものの、原因の特定と再設定で半日以上つぶれました。その間、クライアントの業務も止まっていました。共有設定ひとつのミスで、自分だけでなく相手にも影響が及びます。当たり前のことを、身をもって思い知りました。

復旧作業の中で一番時間がかかったのは「どのファイルに誰のアクセス権が設定されていたか」を思い出す作業でした。20人以上が関わるプロジェクトだったので、アクセス権の組み合わせが複雑でした。結局、メールのやり取りやSlackのログを遡って、一つずつ権限を再設定しました。記録がなければ、もっと時間がかかっていたはずです。

この経験から学んだのは、「元に戻せる状態を常に用意しておくこと」の大切さです。設定を変更する前のスナップショットがあれば、5分で済んだ作業に半日をかけてしまいました。

データが消えるパターンは意外と多い

「バックアップなんて大げさだ」と思っていました。クラウドに保存しているし、パソコンが壊れても大丈夫だろうと。

でも実際には、データが消える・使えなくなるパターンはいくつもあります。

  • クラウドサービスの共有設定ミス(今回のケース)
  • 誤ってファイルを削除してしまう
  • ランサムウェアなどのウイルス感染
  • クラウドサービス側の障害や仕様変更
  • ハードウェアの物理的な故障
  • 同期ミスによるファイルの上書き
  • アカウントの乗っ取りやパスワード漏洩

「クラウドに保存しているから安心」は幻想でした。クラウドはあくまで保存場所のひとつであって、バックアップとイコールではありません。

実際に自分が遭遇した別のケースを挙げると、Googleドライブの同期アプリが一時的に不具合を起こし、ローカルで編集中のファイルが古いバージョンで上書きされたことがあります。2時間分の作業が消えました。同期の仕組みを正しく理解していないと、こういうトラブルが起きます。「同期」は「バックアップ」とは違います。同期は最新の状態を複数の場所に反映するものであって、過去の状態を保存するものではありません。

3-2-1ルールという考え方

バックアップには「3-2-1ルール」と呼ばれる定番の考え方があります。

  • 3:データのコピーを3つ持つ(原本+バックアップ2つ)
  • 2:2種類の異なるメディアに保存する(クラウド+外付けHDDなど)
  • 1:1つはオフサイト(物理的に別の場所)に保管する

企業のIT部門ではよく使われるルールだそうです。自分のような個人事業主や小さな会社には大げさに見えるかもしれません。でも、データが消えたときのダメージは会社の規模に関係ありません。むしろ、自分で復旧するしかない小規模事業者のほうがリスクは大きいです。

このルールの本質は「1箇所がダメになっても他で救える」ということです。完璧にルールを守るのは難しくても、考え方を知っておくだけで対応が変わります。「クラウドだけ」「ローカルだけ」ではなく、「クラウドとローカル」にするだけで、リスクは大幅に減ります。

自分が実際にやっていること

完璧な3-2-1ルールは正直できていません。でも、最低限のバックアップ体制は整えました。

1. クラウド+ローカルの2重保存

重要なプロジェクトファイルは、Googleドライブと外付けSSDの両方に保存しています。Googleドライブのデスクトップアプリを使えば、ローカルとクラウドの自動同期ができます。ただし、同期だけだと「クラウドで消したファイルがローカルでも消える」ことがあるので、月に1回、手動でスナップショット(その時点のコピー)を外付けSSDに取るようにしています。

スナップショットの取り方はシンプルです。外付けSSDに「backup_2026_03」のような月別フォルダを作って、Googleドライブの重要フォルダをまるごとコピーします。3ヶ月より古いバックアップは削除して、容量を管理しています。

2. Obsidianのバックアップ

日常のメモやナレッジはObsidianで管理しています。ObsidianのファイルはiCloud経由で同期していますが、これだけだと不安なので、月に1回、Obsidianのフォルダごとzipにして外付けSSDに保存しています。テキストデータは容量が小さいので、数年分でも数GBに収まります。

Obsidianのデータは自分のナレッジの集大成なので、失うダメージが特に大きいです。だから他のデータよりも慎重に扱っています。iCloudの同期が正常に動いているかどうかも、月1回のバックアップ時に確認するようにしています。

3. 共有設定の変更前にスクリーンショット

今回のトラブルの教訓です。Googleドライブやクラウドサービスの共有設定を変更するときは、変更前の状態をスクリーンショットで記録しておきます。設定を元に戻す必要があるときに、スクリーンショットがあるだけで復旧が格段に速くなります。

スクリーンショットはCleanShot Xで撮って、「設定変更ログ」というフォルダにまとめています。ファイル名に日付と変更内容を入れておけば、後から検索しやすいです。地味ですが、これがあるのとないのでは復旧時間が全然違います。

4. パスワードマネージャーのバックアップ

1Passwordを使っていますが、マスターパスワードとシークレットキーは紙に書いて、自宅の金庫に保管しています。パスワードマネージャーにアクセスできなくなると、すべてのサービスにログインできなくなります。デジタルの備えだけでなく、アナログのバックアップも必要です。

5. メールの定期エクスポート

Gmail上の重要なメール(契約関連、請求関連)は、四半期に1回、PDF形式でローカルに保存しています。Googleアカウントが何らかの理由で使えなくなった場合、メールの記録が一切なくなるのは致命的です。Google Takeoutを使えば、Gmailのデータを一括ダウンロードすることもできます。全データのエクスポートには時間がかかりますが、年に1回はやっておくと安心です。

バックアップの頻度と手間のバランス

毎日バックアップを取るのが理想ですが、現実的には続きません。自分の場合は「月に1回、月末の金曜日にバックアップする」とルーティンに組み込んでいます。カレンダーに繰り返し予定を入れておけば、忘れません。

所要時間は30分程度です。外付けSSDにフォルダをコピーして、不要な古いバックアップを削除するだけです。この30分で「過去1ヶ月分のデータを守れる」と思えば、安い投資です。

自分のバックアップルーティンの手順を書いておきます。

  1. 外付けSSDを接続する
  2. Googleドライブの重要フォルダを月別フォルダにコピー(10分)
  3. Obsidianフォルダをzip化してコピー(5分)
  4. iCloudの同期状況を確認(2分)
  5. 3ヶ月より古いバックアップフォルダを削除(3分)
  6. 1Passwordの緊急キットが金庫にあることを確認(1分)
  7. 外付けSSDを安全に取り外す

完璧を目指すと続きません。「月1回、30分」くらいのゆるさが、自分にはちょうどいいです。

クラウドサービスのゴミ箱機能を知っておく

Googleドライブには、削除したファイルが30日間ゴミ箱に残る仕組みがあります。Dropboxも同様です。この「30日ルール」を知っているかどうかで、誤削除時のリカバリーが変わります。

ただし、ゴミ箱を空にしてしまった場合や、30日を過ぎた場合は復旧できません。だからゴミ箱機能はバックアップの代わりにはなりません。あくまで「うっかり消してしまった」ときの保険として覚えておく程度でいいでしょう。

意外と知られていないのが、Googleドライブの「バージョン履歴」機能です。ファイルを右クリックして「版を管理」を選ぶと、過去のバージョンが確認できます。上書き保存してしまった場合でも、以前の版に戻せることがあります。ただし、保存される期間には制限があるので、これもバックアップの代わりにはなりません。補助的な機能として覚えておくと助かる場面があります。

外付けSSDの選び方

バックアップ用の外付けSSDは、容量1TBのものを使っています。選ぶときに重視したのは3点です。

  • 容量:1TBあれば、テキストデータとプロジェクトファイルのバックアップには十分です。動画素材を大量に扱う人はもっと必要になります
  • 転送速度:USB 3.2対応のものを選ぶと、コピー作業が速くて月1回のルーティンが苦になりません。USB 2.0だとコピーに時間がかかって面倒になり、やらなくなります
  • 耐久性:持ち運ぶことは少ないですが、落下や衝撃に強いものを選びました。HDDよりSSDのほうが衝撃に強く、動作音もありません

価格は1万円前後です。仕事のデータを守るための保険と考えれば、十分にペイする投資です。壊れたときの被害額を考えれば、むしろ安すぎるくらいだと思います。

バックアップをしなかった場合のコスト

バックアップの話は地味で後回しにしがちです。でも、データを失ったときのコストを一度計算してみてください。

自分の場合、過去1年分のプロジェクトデータが消えたら、復元にかかる時間は推定で200時間以上です。時給換算すれば数十万円の損失になります。しかも、完全に復元できる保証はありません。クライアントとのやり取りの記録、作成した提案書、蓄積したナレッジ。これらが一瞬で消える可能性があります。

月30分のバックアップで、このリスクを大幅に下げられます。コストパフォーマンスは明らかです。

まとめ

バックアップは「やっておけばよかった」と後悔する前にやるものです。データが消えてからでは遅いです。

自分のルールはシンプルにしています。

  • 重要ファイルはクラウド+ローカルの2箇所に保存
  • 月1回、手動でスナップショットを取る
  • 共有設定の変更前にはスクリーンショットを撮る
  • パスワードマネージャーのバックアップはアナログで
  • メールの重要データは定期的にエクスポート

完璧な体制でなくても、「何もしていない状態」からは大きく前進します。月1回、30分の作業でリスクを減らせるなら、やらない理由はありません。最初の一歩は、今月の最後の金曜日にカレンダーで「バックアップ」と予定を入れることです。それだけでいいのです。

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