AIに「この画面を見て進めて」と頼むとき、問題は読めるかどうかではありません。どの情報を渡したのか、本人が送信前に確認できるかです。
OpenClaw 2026.8.2では、作業中のページを残したままHomeエージェントを横または下に開けるようになりました。送信される作業コンテキストのスナップショットは、事前に確認し、不要な部分を外せます。選択したテキストだけを添付する方法も用意されました。
派手な自動化ではありません。ただ、社内でAIを使うなら、この「送る直前の確認」が効きます。
今回の更新で何が変わったか
公式リリースによると、HomeはCmd/Ctrl+Shift+Hで開けます。元のページを表示したまま会話でき、送信前に「Working on」として付く作業コンテキストを確認または削除できます。
もう一つの変更はバックグラウンドセッションです。New Sessionから処理を始め、画面を切り替えずに別の作業を続けられます。完了通知から、そのセッションを開けます。実行場所もローカル、クラウド、接続済み端末から選んだ状態を引き継ぎます。
Linux向けにはx86-64用の.debとAppImageが公開されました。ローカルまたは遠隔のGatewayへ接続でき、システムトレイからQuick Chatを開けます。AppImageの更新は署名検証の対象です。
中小企業では「見えている範囲」を送信単位にする
見積画面、顧客台帳、問い合わせ管理を開いたままAIへ相談できれば、コピー作業は減ります。一方で、画面全体を無条件に渡す運用は危険です。担当者が必要だと思った情報と、実際にスナップショットへ入る情報が一致するとは限りません。
私は、次の順番が現実的だと考えます。
- まず選択テキストだけで依頼する
- 足りない場合だけ作業コンテキストを追加する
- 送信前に顧客名、メールアドレス、金額、社内コメントを確認する
- 処理結果ではなく、参照元と変更内容を業務の正本へ残す
たとえば問い合わせ返信なら、顧客の質問と必要な注文情報だけを渡します。管理画面のサイドバーや別案件のメモまで含める理由はありません。
バックグラウンド実行は「開始」より「帰ってくる場所」を決める
処理を裏で走らせる機能は便利です。ただし、担当者が完了通知を見逃し、同じ依頼をもう一度出せば二重実行になります。発注、公開、メール送信では、そのまま事故につながります。AIの二重実行をコスト監視で防ぐ方法では、重複処理を検知する運用を具体的に整理しています。
導入時は、開始前に四つだけ決めます。セッション名、完了通知の受け手、結果の保存先、再実行してよい条件です。通知を受けた人が、保存先の成果物を確認してから次へ進む。ここまでを一つの手順にします。
権限の初期値にも注意がいる
2026.8.2では、サンドボックス外のセッションが同じエージェントの別セッションを参照できる初期設定になりました。定期実行の保持セッションも対象です。共有エージェントで範囲を狭めたい場合、公式リリースはtools.sessions.visibilityをtreeまたはselfにするよう案内しています。
これは全社で一つのエージェントを共用する会社ほど確認が必要です。営業、経理、採用の会話が同じ参照範囲に入る設計は避けた方がいい。部門または用途ごとにエージェントを分け、セッションの可視範囲を明示します。
今回の更新だけで、個人情報保護やアクセス制御が完成するわけではありません。スナップショットの確認は送信ミスを減らす仕組みであり、保存先の権限、承認、監査ログは別に設計する必要があります。
最初に試す業務
いきなり顧客管理画面では試さず、公開情報か架空データを使います。商品ページを開き、選択した仕様だけをAIに渡して、説明文の下書きを作る。次に、スナップショットへ何が含まれるかを担当者が確認します。
見るべき数字は処理時間だけではありません。不要情報の混入件数、修正回数、二重実行の有無も記録します。3回続けて問題がなければ、社内文書へ範囲を広げる。この順番なら、便利さを残したまま手綱を付けられます。
一次情報
この記事は2026年9月3日に、上記の公式リリースと公式ドキュメントを確認して作成しました。機能の説明と、運用上の提案を分けて記載しています。

